2020 Fiscal Year Annual Research Report
近代ユダヤスペイン語文学運動の研究ーーテキスト解釈を中心に
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18J22258
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長塚 織人 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | セファルディ / ユダヤスペイン語 / ラディノ語 / 比較文学 / オスマン帝国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は世界的な新型コロナウイルス感染症の影響によって、極めて大きな研究の変更を余儀なくされることになった。外出の制限、出入国の制限などから、研究計画、特に海外調査は中止せざるを得なかった。国内外の学会活動も中止が相次いだ。その中で海外調査から国内における文献調査に計画を変更し、可能な限りの文献収集に努めた。その意味で現行行っている研究の整理と分析が本年度の研究の中心となった。 だが年度の後半となるに従って、徐々に国内外の学会や研究発表がオンラインに移行してきたため、これまで参加が難しかった国外の学会に参加することができるようになったことは、研究のための情報収集の必要上、大変意義深いことであった。その過程を経て認識したのは、セファルディ系ディアスポラの多様性・多義性である。これまでの状況ではユダヤスペイン語とセファルディの学会や研究発表はその発表を行う当該地域の場所性に依存する傾向があった。 しかしユダヤスペイン語をめぐるテクスト共同体は近年、インターネットの発達によってチャットによる交流サイトの形で発展してきた。これをヘルトは「デジタル・ホームランド」と定義している。そのことを考えれば、むしろこうした学会やイベントがオンラインで開催されることによって、幅広い地域に住む、研究者だけに止まらない幅広い人々が参加可能になったことはその研究の裾野を広げることになった。現に「ラディノ語はZoomによってバーチャル・ルネッサンスを経験している」(フォワード紙)という意見も生まれた。研究者自身もその状況から多くを学んでいる。こうした状況から、セファルディの現代におけるアイデンティティの諸相とテクスト観・ホームランド観に対する更なる解釈が生まれた。それは現在、校正中の現代ユダヤスペイン語文学に対する研究に反映されており、それは博士論文の一部となる予定である。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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