2019 Fiscal Year Annual Research Report
Direct N-glycofunctionalization of amides with glycosyl trichloroacetimidate by thiourea/halogen bond donor co-catakyst
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18J22261
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中辻 雄哉 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 有機ラジカル触媒 / 有機ラジカル反応 / 電荷移動錯体 / 常温非光照射下でのSET |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度私が取り組んでいた研究課題であるハロゲン化イミダゾリウム塩を酸触媒として用いたアミド基の直接的グリコシル化反応の開発に成功し、筆頭著者として論文化することができた。注目すべき点としては私の開発したイミダゾール骨格はそれ自身が塩基であるにも関わらず酸触媒を活性化するという性質を持っていることに挙げられる。このことを種々の比較実験と機器測定を用いた綿密な考察をもって解明し認めてもらうことができた。 薬学の全国誌であるファルマシアにも注目の論文として掲載され、重要な発見として認識されたことにおおきな喜びを感じた。続く研究として私は開発した構造のさらなる利用法としてこの電子不足な構造を用い、別の電子豊富な化合物を用いる事で電荷移動錯体の形成と続く一電子移動(SET)を起こすことで断続的にラジカル種を発生させることに成功した。このラジカル種はそのまま有機化学反応に用いる事が可能である。大きな特長としてラジカル種の発生、つまりSETに光照射を必要としないことが挙げられる。高い温度も必要とすることがなく、常温、光非照射下でラジカル種を断続的に発生し続ける世界初の有機触媒の開発に成功したと考えている。この現象を引き起こすことに必要な構造とその役割を種々の機器測定より考察、類推することに成功した。 この触媒系がこれまでの有機触媒とは性質的に一線を画すのは疑いようのないことで、この触媒に何ができるのか、何が得意で何が不得意なのか、をよく考察した上でこの触媒にしか達成できない反応の探索に取り組んで来たいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上に示した、世界初の常温非光照射下での有機ラジカル触媒の発見はなかば偶然に近いものがあった。小さな違和感に気づくことができたのは幸運も必要となる部分で、見つけようとして見つけられるものではないというのが正直な実感としてある。 このことから今の進捗は当初予定し得ない非常に大きな成果、発見の上に立つもので計画以上の進展を持っているという評価は妥当であろうと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の研究の進捗状況として、モデル反応を用いた触媒の反応以降解析に取り組んでいる最中である。その中で上記のような触媒の特徴が見えてきた。 さらにほかのラジカル発生法との比較の中でこの触媒がモデル反応を起こす際に経る興味深い反応ステップがあることに気が付いた。この知見をもとに設計した反応を予備的知見として検討したところ、これまでは達成困難であろうと考えられていた反応を進行させることに成功した。収率は依然として低いものの知見としての価値は非常に高いものであると考えており、収率の向上や基質適応範囲の拡大に向けて検討を重ねていきたいと考えている。
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Research Products
(1 results)