2020 Fiscal Year Annual Research Report
ドゥルーズにおけるライプニッツ受容:その意義と背景
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18J22359
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
飯野 雅敏 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 個体化 / アナーキーな存在論 / 神なきモナドロジー / 概念の存在論 / ヴィクトル・クーザン / 哲学史の制度化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、研究課題「ドゥルーズにおけるライプニッツ受容:その意義と背景」について以下の三つの成果を得た。①初期ドゥルーズの主著『差異と反復』の哲学体系における個体化論の役割を、とりわけライプニッツの表現概念との関係に着目して解明することで、この体系が「神なきモナドロジー」ともいうべき外観を呈していることを示した(①については。哲学若手研究者フォーラム2020年度大会にて「ジル・ドゥルーズ『差異と反復』における個体化=表現:永遠回帰の存在論とライプニッツ」」と題して発表)。②ライプニッツに関連して言及される「骰子の一振り」と「チェスゲーム」という二つの形象に注目し、その位置付けの変遷を分析することで、初期にあっては、神学的要請に屈した哲学者として最終的には批判されていたライプニッツが、後期の『襞』では、独創的な概念を創造した範例的哲学者として肯定的に再評価されていることを明らかにした。そしてその重要な背景として、初期の著作群の中心的な関心が、既存の世界・社会の転覆と刷新を企図するアナーキーな「一般存在論」の構築であったのに対して、『哲学とは何か』にいたる晩年には、置き換え不可能で特異な事物としての哲学的概念の創発の機序を語る「概念の存在論」の構築へと関心が移っていることを明らかにした(②については、日本フランス語フランス文学会関東支部2020年度大会にて「存在論からポイエーシスへ:ドゥルーズにおける「骰子の一振り」と「チェスゲーム」の主題」と題して発表)。③フランスにおけるライプニッツ受容史を再構築するにあたり、予備的調査としてクーザン学派による哲学史教育の制度化の過程について近年の研究状況を整理し、「クーザンの戦略:勃興する哲学史における哲学者たちの形象」(東京大学大学院総合文化研究科フランス語系オンラインジャーナル『レゾナンス』)と題した研究ノートにまとめた。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)