2019 Fiscal Year Annual Research Report
根圏生態系における糖化アミノ酸代謝が果たす役割の解明
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18J22362
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
島崎 智久 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | N. tabacum / 特化代謝産物 / ニコチン / サントパイン / 植物微生物相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はナス科タバコ属植物であるN. tabacumをモデルとして、タバコが特異的に生産する特化代謝産物であるサントパインおよびニコチンがタバコ根圏微生物との相互作用、特に根圏細菌叢形成における機能を明らかにすることを目的としている。サントパインはその生合成遺伝子がRhizobium属細菌からタバコへと水平伝播したことによりタバコが獲得した特化代謝産物であるが、その生理学的な機能はこれまで明らかになっていない。また、毒性アルカロイドであるニコチンは害虫などに対する防御物質としての機能は知られている一方、根圏微生物との相互作用における機能は不明である。 サントパインやニコチンが土壌細菌叢構造に与える影響を明らかにするため、これらの化合物を土壌に添加したところ、土壌細菌層構造が変化し、また特定の細菌種の相対存在量が増加することが明らかになった。さらに、これら相対存在量が増加した細菌種はタバコ根内に多く見られる細菌種と属レベルで一致していた。そこでタバコ根内からこれらの細菌を単離解析したところ、多くの株でサントパインおよびニコチン分解活性を有していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでにタバコ根圏からサントパインおよびニコチンを介してタバコと相互作用していると考えられる細菌種のリストアップ、さらに単離解析まで完了している。さらに単離株の全ゲノム解析やサントパインやニコチンを生産しないゲノム編集タバコを持ちた細菌叢比較の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、タバコ根圏から単離された細菌種の全ゲノム解析を進めている。今後これらの細菌ゲノムとその他の環境から単離された近縁種のゲノム情報とを比較解析することで、タバコ根圏への定着の必須な機能を遺伝子機能レベルで明らかにする。また、サントパインやニコチンを生産しないゲノム編集タバコを持ちた細菌叢比較によりこれらの代謝産物タバコ根圏細菌叢形成におよぼす影響を明らかにする。
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