2019 Fiscal Year Annual Research Report
金属水酸化物の局所構造制御に向けた新しいビルディングブロックの開発
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18J22562
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
村松 佳祐 早稲田大学, 先進理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 層状金属水酸化物 / ハイブリッド / ナノシート / アルコキシド |
Outline of Annual Research Achievements |
層状金属水酸化物は多様な金属種から構成されており、エネルギー貯蔵・変換のための触媒材料や電極材料として応用が期待されている。本研究課題では、複数の金属種からなる層状金属水酸化物の層内における局所的な金属種の分布に着目し、金属水酸化物の局所構造を制御可能な合成技術の開発を目的としている。 昨年度に引き続き本年度もキャッピング剤としてアルコールを用いて金属水酸化物の微粒子を一度合成し、これらの加水分解により金属水酸化物を得る合成プロセスついて検討した。このような二段階のプロセスにより金属水酸化物の結晶成長制御が可能となれば、層内において組成分布を導入できると考えている。昨年度までに加水分解安定性の低い単座アルコールのメタノールを使用し、水酸化物のアルコキシ化とその加水分解を試みたところ、粒子の再成長反応が進行し、厚さ1.5 nmほどの極めて薄い水酸化物ナノシートが形成することが分かっている。この手法をベースとし今年度はアルコキシドの加水分解条件を検討することで、微粒子同士をそのまま連結させるプロセスへの発展を目指した。 メトキシ化された水酸化ニッケルの加水分解時のpHや温度、反応時間を検討したところ、温度を下げることで得られる水酸化物ナノシートのラテラルサイズが小さくなった。この結果は、温度条件により原料として用いたアルコキシドオリゴマーの加水分解速度を制御可能であることを意味している。したがって、この加水分解速度のコントロールによりオリゴマー同士をそのまま連結させるプロセスとして発展させられる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度までに目標としていた金属水酸化物の段階的な合成プロセスの開発及びその反応制御に関しては一定の成果を得ている。本手法をベースとして異種の金属水酸化物前駆体を混合した状態で加水分解実験を行うことで、金属水酸化物オリゴマー同士の連結が可能となると期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は異種の金属水酸化物オリゴマーを混合した状態で加水分解実験を行い、オリゴマー同士の連結による局所構造制御を狙う。また、加水分解過程における結晶成長の機構を明らかとするために結晶成長時の経時的な挙動を調査する。
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