2019 Fiscal Year Annual Research Report
グルタチオン代謝を担う古典的酵素の新規機能:破骨細胞活性化の構造基盤
Project/Area Number |
18J22606
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
高尾 春奈 宮崎大学, 医学獣医学総合研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
|
Keywords | レドックスバランス / 構造生物学 / グルタチオン代謝 / ジスルフィド結合 / 破骨細胞活性化因子 / 骨粗鬆症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)本来の生理学的意義を明らかにすることをゴールとして、『酵素活性』と『破骨細胞の新規活性化因子としての機能』という独立した2つの分子機能の解明を目的としている。 GGTは二つのサブユニット(L-およびS-subunit)から構成されるヘテロダイマー構造であり、分子表面のCys50-Cys74およびCys192-Cys196のジスルフィド結合が構造変化に関係している可能性を予想した。そこで、Cys残基および基質結合部位の変異導入を試みた。変異を導入することでグルタチオン(GSH)活性が落ちてしまうため、hGGT wild-typeのHis-tagによる発現・精製を行った。hGGTからHis-tagまでの間に、α-helixまたはグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)を組み込んだ2種類の融合タンパク質の発現・精製系の構築を行った。しかし、発現したhGGTはGSH分解活性を有するが、His-tagによる精製が難しいことが明らかとなった。 また、ロイシンリッチモジュール構造を持つTLR4細胞外ドメインおよびその補因子MD-2の発現・精製系の構築を大腸菌で試みた。数種類のベクターとホストを組み合わせ、親水性タンパク質の融合サンプルの発現を試みた。Niアフィニティー精製したヒト由来TLR4はSDS-PAGEでバンドが見られた。しかし、SDS-PAGEでは精製したサンプルがヒト由来TLR4である確証が得られないため、TLR4の抗体を用いたウェスタンブロットをすることで発現の有無を精査していく。さらに、TLR4とhGGTの相互作用およびhGGTの構造変化を検出するために、サーマルシフト法・Native-PAGEおよび動的光散乱法による解析を進めていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、昨年度に引き続きhGGTの基質認識機構を探索するために、基質フリーのサンプルを用いた基質結合アナログ型阻害剤のソーキングおよび共結晶化の条件検討を進めた。その結果、新しい結晶化条件で結晶が析出したため、現在構造解析をしている。 さらに、これまでに決定したヒト由来GGTの構造をもとに、hGGTの分子表面に存在するCys50-Cys74、Cys192-Cys196のCys残基および基質結合部位の変異導入も継続している。変異を導入することでグルタチオン(GSH)活性が落ちてしまい、目的のサンプルの精製が追えなくなるため、hGGT wild-typeのHis-tagによる発現・精製を試みた。昨年度は、昆虫細胞系(バキュロウイルス系)を用いてhGGTからHis-tagまで30残基付与した発現系を構築した。しかし、His-tagが糖鎖に埋もれてしまうことでNiアフィニティー精製ができていない可能性が示唆された。そこで、hGGTからHis-tagまでの間に、α-helixまたはグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)を組み込んだ2種類の融合タンパク質の発現・精製系の構築を行った。しかし、発現したhGGTはGSH分解活性を有するが、His-tag精製が難しいことが明らかとなった。 また、昨年度は昆虫細胞(High-Five)によるヒト由来TLR4とMD-2の発現・精製系の構築を試みたが、TLR4の発現系を組むことに難航した。そこで、大腸菌を用いたヒト由来TLR4の発現系を試みた。数種類のベクターとホストを組み合わせ、TLR4と親水性タンパク質の融合サンプルの発現を行った。Niアフィニティー精製したサンプルは、SDS-PAGEにてTLR4の分子量の位置にバンドが見られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでに析出した新しい結晶からhGGTの基質結合アナログ型阻害剤複合体の構造決定を行う。 hGGTのHis-tagによる精製が難しいため、タグを変更して発現・精製系の構築をする。同時進行で、これまでhGGTを発現させていた昆虫細胞系(バキュロウイルス系)を用いて精製系を簡略し、変異導入したhGGTを得る。また、ウイルスの定量によるタンパク質発現の有無を評価して変異体作製を進め、活性測定をしていく。 ヒト由来TLR4が発現・精製できていることを精査するために、TLR4の抗体を用いたウェスタンブロットをする。TLR4とhGGTの相互作用およびhGGTの構造変化を検出するために、サーマルシフト法・Native-PAGEおよび動的光散乱法による解析を進めていく。
|
Research Products
(2 results)