2018 Fiscal Year Annual Research Report
英語学習アドバイジングでの認知と感情の不可分性:社会文化理論に基づく4次元的把握
Project/Area Number |
18J22751
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
守屋 亮 早稲田大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 社会文化理論 / 言語学習アドバイジング / 自律学習 / 認知 / 感情 / 4次元モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
外国語学習とは、認知と感情が入り混じった複合的な営みであり、両者は不可分の関係性にある。本研究課題では、言語学習アドバイジング(アドバイジング)という自律学習支援の枠組みを通して学習者認知・感情の両者に配慮した包括的なサポート体制を整備することを目標とし、以下2点を目的として研究を進めている。 (1)認知と感情の4次元モデルの開発と応用:認知と感情は社会文化的な文脈に依存するため、それらの関係性や変化を仮想的な4次元空間で捉えることを進めている。学習者が外国語を学習する際の認知や感情の軌跡を可視化することにより、学習者自らの傾向を把握するだけでなくアドバイザーもより個々の学習者に沿った支援を展開することが可能となる。30年度に理論的な枠組みを構築し、令和元年には4次元空間内で学習者の認知と感情をプロットしモデルの洗練を行っていく予定である。 (2)認知・感情・社会文化に配慮したアドバイジングの実践:アドバイジングが個別具体的な性質を帯びている以上、4次元モデルが実際のアドバイジングでも応用可能なのかを模索し、4次元モデルを用いることにより学習者・アドバイザー双方にどのような影響があったかを縦断的に調査する。これにより、様々な教育機関で包括的なアドバイジングを今後試みていく際の貴重な実践例となる。令和元年は(1)の4次元モデルを実際のアドバイジングに取り入れ、学習者を包括的に支援するための実践研究を開始する予定である。先ず(1)の知見を基に、実際のアドバイジングにあたって複数のツールを準備する。その後、複数の研究協力者に縦断的なアドバイジングを令和2年の半ば頃まで実施する予定である。アドバイジングから得られたデータは複数の分析手法を用いて多角的に分析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
30年度は、以下2点を目標としていた。(1)感情の3側面(種類・強度・割合)を複数の調査手法を用いて調査、(2)認知・感情・社会文化に配慮したサポートを行うための4次元モデルの構築。(2)に関しては感情に特化した成果発表が主であるが、次年度の研究状況を妨げるものでは無いと判断し、「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年は、以下3点の推進方策をとる。 (1)4次元モデルの適用・洗練:複数の研究協力者のデータを4次元モデルにプロットし、更なるモデルの洗練化を図る。30年度は感情に関するデータに特化していたため、認知に関するデータも同時に収集し、後のアドバイジング実践に繋げる。 (2)アドバイジングの準備:アドバイジングを行うにあたって、学習者を複数の観点から総合的に理解することが欠かせない。そのため、アドバイザーが実際のセッションで用いる様々なツールを多様な学習者を想定した上で準備することが重要である。その際に(1)で得られた知見をツールに反映する。 (3)アドバイジングの実施(前半):複数の研究協力者にアドバイジングを月1回ほどの頻度で約1年間実施する。アドバイジングのセッションは録画・録音し、ツール等の情報と合わせ、最終的に4次元モデルに基づいたアドバイジングの影響や認知と感情がどのように関連していたのかを社会文化理論的な観点から分析する。これにより理論と実践の両面からアドバイジングに対して知見を与えることが可能となる。
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Research Products
(6 results)