2018 Fiscal Year Annual Research Report
深海底熱水活動域に充満する電気エネルギーを利用した革新的微生物培養法の確立
Project/Area Number |
18J23061
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
武藤 久 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 深海 / 熱水活動域 / 微生物 / 培養 / 電流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は(1)熱水活動域由来微生物の電気化学セル内での培養手法の検討、(2)熱水活動域チムニーのサンプリング、(3)チムニーサンプルの船上培養方法の検討、(4)熱水活動域由来微生物の電気培養の実施を行った。概要を以下に記す。 (1)国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)の協力の下、熱水活動域由来微生物用培地を電気化学セルに充填し、電気化学測定を行う手法を確立した。これにより、熱水活動域由来微生の電気培養を行いつつリアルタイムで電流値測定を行うことが可能となった。 (2)電気培養・チムニー微生物RNA抽出・新規微生物分離用のチムニーサンプル採取のため、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の調査航海KR18-03c(2018年3月)に参加し、中部沖縄トラフの熱水活動域においてチムニーをサンプリングした。これにより、次年度の研究に用いるサンプルの準備が整った。2018年7月の航海(KM18-07c Leg1)にも参加したが、荒天のためサンプル回収できなかった。 (3)上記KR18-03c航海では、取れたばかりの試料を用いた船上電気培養を実施した。 (4)(1)で確立した熱水活動域微生物電気培養法に基づき、熱水活動域由来の好熱細菌の電気化学セルを用いた電気培養に着手した。通常の培養条件では菌株が増殖できない低温での電流生成が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は深海由来微生物分離株を対象に、様々な電気エネルギー利用可能条件下での微生物活動を明らかにするため研究を進めた。中等度好熱細菌において、その至適増殖温度で培養実験を行った際、培地が無視できないレベルで蒸発し、当該条件下での微生物活動の測定は難航した。
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Strategy for Future Research Activity |
培地蒸発という予期せぬ問題により、予定していた解析項目の多くを実施できなかったが、本年度後半には培養容器やインキュベーターの工夫により、培地の蒸発をおさえることに成功し、翌年度以降は遅れを取り戻し計画どおり研究を進めることが可能であると思われる。また、次年度以降の研究遂行に必要なチムニーサンプルは、充分量採取しており、熱水活動域サンプルを要する次年度以降の実施項目については予定通り進めることが可能であると考えている。
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