2019 Fiscal Year Annual Research Report
受信端末駆動型MACプロトコルを用いた低消費電力マルチホップネットワーク
Project/Area Number |
18J23198
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥村 亮太 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 受信端末駆動型MACプロトコル / マルチホップネットワーク / F-RIT / Wi-SUN / 低消費電力 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はまず、前年度より検討を行なっていた、受信端末駆動型MACプロトコルを使用した低遅延および低消費電力なマルチホップネットワークを実現する新規経路選択手法の提案や評価を進めた。最初に、端末発呼通信とポーリング通信によるデータ収集時の通信特性を計算機シミュレーションにより評価し、ポーリング通信により高頻度な高信頼通信が可能であるものの、遅延や消費電流が増大することを示した。さらに、ポーリング通信において遅延および消費電流を改善する二つの手法を提案した。一つ目はダウンリンクの経路構築に着目した手法であり、受信端末駆動型Media Access Control (MAC) プロトコルの動作原理を活用し、柔軟な経路構築を可能とするものである。計算機シミュレーション評価を行い、ダウンリンク遅延が最大41.3%、消費電流が最大13.5%改善することを示した。二つ目はポーリングの往復通信に着目したものであり、一時的にアップリンクの待ち受けを高頻度に行うことで、遅延の短縮を図る。この手法により、消費電流が最大39.4%改善することを計算機シミュレーション評価により示した。これらの結果について、国内外の学会で成果発表を行った。次に、電力スマートメータリングなどを志向した規格であるWi-SUN Field Area Network (FAN) において、ガスや水道スマートメータ等のバッテリ駆動端末を接続するための低消費電力MACプロトコルについての検討を行った。基礎的な検討として、Wi-SUN FANでは使用するチャネルを切り替えながら通信を行うという点で既存の低消費電力MACプロトコルの運用と前提が異なるという点に着目し、いくつかの非同期型低消費電力MACプロトコルを用いる場合の通信特性解析を行った。この結果は、国内学会において発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度において、ガス・水道スマートメータ向けの規格であるWi-SUN Japan Utility Telemetering Association (JUTA) プロファイルの標準化を考慮し、標準に準拠したプロトコルの評価を優先したため、当初1年目に予定していたマルチホップの研究の大部分を今年度に取り組んだ。この内容については順調に成果を得ることができ、学会での成果発表を行っている。当初、今年度においては、複数のMACプロトコルを柔軟に組み合わせた屋内向け低消費電力ネットワークについて、隣接端末情報管理手法・最適経路選択制御手法に関する研究を行う予定であった。しかし、電力スマートメータリング等を志向したWi-SUN FANの標準化・普及の進展を鑑み、Wi-SUN FANにおける低消費電力MACプロトコルの導入へと展開を進めた。すでに基礎的な検討の成果発表を行っている他、さらなる検討を進めている。以上から、当初の計画から状況を鑑みた方針修正があるものの、概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに国内外での学会発表を完了している、Wi-SUN JUTAプロファイルに準拠したプロトコルの特性評価や、低遅延・低消費電力なポーリング手法についての研究について、結果を取りまとめ、論文誌への投稿を行う予定である。また、Wi-SUN FANにおける低消費電力MACプロトコルの導入について、理論解析や計算機シミュレーション評価を進める他、実機評価についても検討を行う予定である。
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