2019 Fiscal Year Annual Research Report
High-Repetition-Rate Single-Shot Spectroscopy
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18J23280
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
小林 真隆 横浜国立大学, 理工学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | シングルショット測定 / ポンプ・プローブ分光 / 相変化材料 / アブレーション / 超高速応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、高繰り返しで測定可能なシングルショット超高速分光技術を開発することによって、マルチタイムスケールのポンプ・プローブ分光法を行い、不可逆過程のダイナミクスを可視化することを目的とした本研究を進めている。特に本年度は、光相変化材料であるGe2Sb2Te5(GST)薄膜における超高速相変化ダイナミクスに着目し、光照射による相変化や表面構造形成、レーザーアブレーションに至るまでの超高速ダイナミクスを明らかにすることに成功した。特にアブレーション閾値付近の光強度を持った励起光を照射することによって、回折限界よりも小さいナノスケールの周期構造(LASER-induced periodic surface structures, LIPSS) がGST表面上に形成されていることが確認され、この周期構造の形成に伴いフェムト秒の過渡応答が短寿命化することを明らかにした。この結果は、レーザー照射の1パルスごとにダイナミクスを計測したもので、フェムト秒の応答がマイクロ秒でどのように変化しているかを明らかにした初めての試みとなる。これらの結果は従来の超高速分光法では測定が極めて難しかったものであり、開発した実験系の有効性を示すことに成功した。また、これらの結果は、レーザー加工の初期過程を理解する上で極めて重要な知見を与えていることから、現在その成果を論文にまとめている。またシミュレーションなどによる検討を加えることでダイナミクスの定量的な理解にも取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
相変化材料の一つであるGeSbTe薄膜における相変化ダイナミクスやシリコン基板におけるレーザーアブレーションにおいて、構造変化や温度変化などのマイクロ秒スケールのダイナミクスと、光励起に起因したフェムト秒のダイナミクスとの相関関係を明らかにする手法を確立させることを当初の研究計画として想定していた。この研究計画を踏まえ、現在までの進捗状況を鑑みると、GeSbTe薄膜において、光照射による相変化や表面構造形成、レーザーアブレーションに至るまでの超高速ダイナミクスを明らかにし、特にナノスケールの周期構造(LIPSS)の形成に伴いフェムト秒の過渡応答が短寿命化することを明らかにしたことは、レーザー加工の初期過程を理解する上で極めて重要な知見を与えていると考える。以上の見解から、本研究課題の進捗状況として概ね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度、Ge2Sb2Te5(GST)薄膜における超高速相変化ダイナミクスに着目し、光照射による相変化や表面構造形成、レーザーアブレーションに至るまでの超高速ダイナミクスを観測した。またアブレーション閾値付近の光強度を持った励起光を照射することによって、回折限LIPSS がGST表面上に形成されていることが確認され、この周期構造の形成に伴いフェムト秒の過渡応答が短寿命化することを明らかにした。今年度はこれらの観測データに対し、シミュレーションなどによる検討を加えることでダイナミクスの定量的な理解を行い、その成果を論文にまとめることを計画している。また昨今の新型コロナウィルスによる緊急事態宣言下では、大学の研究設備を用いた実験を行うことは当面の間難しく、先行きも不透明であることから、主に論文の執筆活動およびシミュレーションでの研究活動を首都することを考えている。その一つにチャープパルスを用いた波形検出における、波形歪みの補正について計算シミュレーションを行い、超高速信号の復号について検討を進めていくことを計画している。
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