2018 Fiscal Year Annual Research Report
視覚障害者による音で作図する地図エディタの開発と移動支援・共同作業への応用
Project/Area Number |
18J23363
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松尾 政輝 筑波大学, システム情報工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
|
Keywords | 視覚障害 / 音触マッピング / 触知図 / 空間認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,地図情報や案内図等の2次元平面上の図形を聴覚情報と触覚情報を用いて視覚障害者に提示するための音触マッピングインタフェースを開発することである.本年度は,効果音・音声・振動を用いて視覚障害者が実世界の地図情報を理解するための地図の構成要素を整理し,複数の音触提示方法を考案した.タッチスクリーン端末上にユーザインタフェースの仮実装を進め,視覚障害者数名からのフィードバックを得た. まず,図形表示とユーザコントロールを行うタッチパネル,効果音エフェクトや音声情報を伝達するスピーカを合わせてインタラクション平面と定義した.視覚障害ユーザが音触マッピングツールのインタラクション平面上に触れると,図形の形状や配置場所に応じて異なる音触提示をフィードバックする様設計した。ツール上に提示する図形は,2次元平面上のある点(ポイント)と,多角形等の図形を格納する面(エリア),提示物同士のつながりを表現する線(ライン)の3要素とし,これら3要素を組み合わせて,地図上のPOI(Point of Interest)や POR(Point of Reference),地図上の移動経路の情報を表現した. 研究開発中のツールは視覚障害者向け総合イベントサイトワールド2018にてデモ出展を行った.20名程度の視覚障害者にご体験いただいた結果,本ツールを利用したいという声が寄せられた一方,複数の課題が明らかになった.本年度の研究結果は,知覚情報研究会にて報告を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
音触マッピングツールに必要な要素について検討を重ねることができたため.
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は,昨年度考案した複数の提示手法のシステム実装を進め,タブレット端末やスマートホン上で音触マッピングツールを利用できる環境を整え,移動支援へ応用するための準備を進めていく計画である.現在地,周辺建物などのオブジェクトとの位置関係,移動経路の軌跡について,音によって直感的に確認できるようにし,外出先でも手軽に地図情報にアクセスできる環境を整える. 開発中の音触マッピングツールの改善に当たっては,視覚障害者を対象とした評価実験を行う.その際,音触提示のための複数の手法比較や,手法の組み合わせの評価を行い,図形情報を効率よく把握するための条件を探っていく.
|