2018 Fiscal Year Annual Research Report
バクテリア由来RNAのT細胞増殖抑制機構の解明と炎症性腸疾患への応用
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18J40075
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
青木 綾子 日本女子大学, 家政学部, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 乳酸菌 / RNA / T細胞 / 増殖応答 / IL-2 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、バクテリアRNAがT細胞の増殖を直接抑制することで、大腸炎症を抑制するという点を検証する。今年度は、バクテリアRNAの調製とT細胞増殖抑制活性の評価を行った。漬物由来乳酸菌60菌株を用いてRNAを調製し、マウス脾臓CD4+ T細胞に添加し、anti-CD3/anti-CD28刺激時の増殖応答および培養上清中IL-2量を測定した。その結果、1菌株を除いて、全ての菌株で増殖抑制効果を認めた。一方、IL-2量に関しては、16菌株ではむしろ応答が増強された。このため、バクテリアRNAによるIL-2応答と増殖応答の抑制機構には、異なる制御機構が存在する可能性が示唆された。これらの抑制活性の強さに関しては、菌種特異性は認められず、菌株特異的であることが明らかになった。この結果から、増殖応答を強く抑制する菌株を複数選抜した。 また、マウス脾臓ナイーブCD4+ T細胞の増殖応答およびIL-2応答に対する、TLR7リガンドであるImiquimod、Resiquimod、Gardiquimodの効果を調べた。その結果、Imiquimodは増殖応答、IL-2応答ともに抑制するのに対し、Resiquimodは両方の応答とも抑制しなかった。Gardiquimodは、増殖応答は抑制するものの、IL-2応答は抑制しないことが明らかになった。このため、同じTLR7 ligandであり、同じイミダゾキノリン誘導体であっても異なる活性を有することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度途中より出産のため採用中断をしており、Imiquimodの抑制機構に関わるレセプターの探索に関しては少し進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
選抜したバクテリアRNAの腸管炎症モデルに対する経口投与効果の検証を行う。腸管炎症モデルにはデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘導性腸炎モデルを用いる予定である。C57BL/6マウスに3%DSSを含む水を5日間飲ませた後、水を7日間投与し大腸炎症を誘導する。大腸炎症の誘導と同時に選抜したバクテリア、またはバクテリアRNAを強制的に経口投与し、大腸炎症に対する抑制効果を評価する。 また、抑制活性を有するバクテリアRNAの配列解析を行う。抑制活性の強いバクテリアRNAから、活性を有するRNAの探索を実施する。陰イオン交換カラムやゲル濾過カラムを用いてRNAの分画を行い、T細胞増殖に対する抑制効果を調べる。 さらに、Imiquimodを用いた未知のレセプターの同定を目指す。TLR7欠損マウスのT細胞を用いて、ImiquimodおよびバクテリアRNAがTLR7以外の経路でカルシウムイオンの流入を引き起こすことを確認する。つづいて、カルシウムイオンの流入に関わるレセプターを同定するため、各種阻害剤により、カルシウムイオン流入が抑制されるか調べる。
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