2019 Fiscal Year Annual Research Report
バクテリア由来RNAのT細胞増殖抑制機構の解明と炎症性腸疾患への応用
Project/Area Number |
18J40075
|
Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
青木 綾子 日本女子大学, 家政学部, 特別研究員(RPD)
|
Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2022-03-31
|
Keywords | 乳酸菌RNA / Imiquimod / マウスT細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、乳酸菌RNAがマウスT細胞の増殖を直接抑制することで、大腸炎症を抑制するという点を検証する。今年度は、1)活性成分の分画を行うとともに、2)ImiquimodによるマウスT細胞の増殖抑制について検討した。 1)乳酸菌の活性画分がRNAであることを確認するため、RNase A処理の影響を検討した。その結果、予想外にRNase A処理後のRNA抽出物にT細胞増殖抑制活性が残存していることがわかった。そこで次に、陰イオン交換カラムを用いて、RNAの分画およびRNase A処理物の分画を行った。分画は塩濃度を低、中、高濃度と上げるステップワイズ法により行い、それぞれ3つの画分を得た。各画分のT細胞増殖抑制作用を検討した結果、RNAの方はすべての画分に活性があることがわかった。一方、RNase A分解物の方では、低濃度の塩で溶出した画分にRNAが含まれ、高い抑制活性があることがわかった。他の2つの画分の方にはほとんどRNAが含まれず、抑制活性も弱いことがわかった。 2)マウスT細胞のDNA断片化を調べた結果、ImiquimodがDNA断片化を誘導することが確認された。また、ImiquimodがCaspase-3/7の活性を高めることが確認された。以上からImiquimodはT細胞にアポトーシスを誘導することが示唆された。 続いて、ImiquimodによるT細胞のアポトーシス誘導機構について検討した。その結果、FasLの中和抗体はImiquimodにより誘導されるアポトーシスをまったく阻害しないことがわかった。一方、小胞体ストレス誘導性のアポトーシスを阻害するsalubrinalが、Imiquimodによるアポトーシスの誘導を部分的に阻害することがわかった。これらのことから、Imiquimodによるアポトーシスの誘導には小胞体ストレスが関与している可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、年度途中に研究室の炭酸ガスインキュベーターの故障や動物室の改装があったため、乳酸菌由来RNAの活性本体の同定が思うように進まなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度は、研究設備を整えた上で、引き続き、活性成分の同定とT細胞増殖抑制機構の解析を進める予定である。活性成分の同定については、RNase A分解物に含まれる活性成分の同定について検討を進める予定であり、同画分に含まれるRNA配列の解析を進める方針である。T細胞増殖抑制機構については、小胞体ストレスの関与について解析を進めることに加え、TLR7ノックアウトマウスを用いた検討を行う予定である。
|