2020 Fiscal Year Annual Research Report
分子進化速度の上昇がもたらす進化イノベーション:水生植物における平行的形態特殊化
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18J40090
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
片山 なつ 千葉大学, 大学院理学研究院, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 水生植物 / 分子進化速度 / 突然変異率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、水生植物の中でも特異な環境に生育し、特有の形態を共通して獲得しているカワゴケソウ科とウキクサ類を対象とし、独立した2つの分類群間における進化の共通性を探ることを目的とした。 1. カワゴケソウ科の分子進化学的解析 カワゴケソウ科植物と姉妹群のセイヨウオトギリ、外群のアマについて、ゲノムワイドに遺伝子配列を取得し分子進化学的解析を行なった。その結果、カワゴケソウ科で2度の突然変異率の上昇が検出され、1度目は科が起源したタイミング、2度目は科内で多様化が始まったタイミングと一致していた。また、2度の突然変異率上昇のタイミングで正の選択圧を受けた遺伝子群を特定し、1度目は科が新規環境へ進出した際に紫外線照射量が上昇したこと、2度目は茎頂分裂組織の維持機構の変更が突然変異率上昇に寄与している可能性が示唆された。これらの成果を論文(Katayama et al. 2022. Communications Biology)として出版した。 2.ウキクサ類の分子進化学的解析 同様にウキクサ類についても分子進化速度の上昇を検証した。ウキクサ亜科全5属8種と比較対象のサトイモ科2種(アンスリウム、ボタンウキクサ、タロイモ)、外群ショウブ科のAcorus americanusを材料とし分子進化学的解析を行なった。その結果、ウキクサ亜科における分子進化速度の上昇は、亜科の出現時とさらに亜科の中で2回の計3回、突然変異率の上昇が起きたと推定された。 さらに、カワゴケソウ科とウキクサ類の進化速度上昇の共通項を探るため、進化速度上昇時に正の選択圧を受けた遺伝子群を探索した。その結果、生体内で酸化還元反応に関わる遺伝子群で、共通して選択圧を受けたことがわかった。これらの結果は、水生環境におけるストレスが突然変異率の上昇に関与している可能性を示唆しており、今後詳細な解析が期待される。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)