2018 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子HIF-1αによる肺癌での癌幹細胞維持機構の解析および治療法の開発
Project/Area Number |
18J40105
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Research Fellow |
岩渕(吉田) 千里 日本医科大学, 先端医学研究所 遺伝子制御学部門, 特別研究員(RPD)
|
Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
|
Keywords | HIF-1a / 癌幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺癌は男性で癌の死亡率 1 位、女性で 2 位の非常に予後不良な癌であり、その効果的な治療法の開発 は重要で、急務である。EGFR 遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌は EGFR に対する分子標的薬が効果的ではあるが、再発例が多いことが重大な問題となっている。薬剤耐性獲得の原因として知られているの が癌幹細胞の存在であり、既に先行する研究報告は多数存在するが、本研究は、申請者が発見したEGFR 陽性 NSCLC細胞での転写因子HIF-1a発現によるゲフィチニブ耐性を獲得している機構に関する研究であり、これまで報告のない独自の研究であると考えられる。 本年度ではHIF1-aが高発現することによりゲフィチニブに対して薬剤耐性を獲得することを明らかにしており、その機構解析を第一の目的とした。HIF1-aが高発現することによりアンチアポトーシスの重要分子であるMCL1やBCL-XLの発現が高くなることを明らかにした。さらにこれらの分子を欠損させるとゲフィチニブに対する感受性が高くなることからHIF-1aが高発現することでアンチアポトーシスの分子の発現も上昇し、薬剤耐性を獲得している可能性が示唆された。 さらにHIF-1a高発現細胞株と野生型の細胞株をnude mouseへ移植し、腫瘍形成能や転移能についてのHIF-1aの影響を調べた結果、HIF-1aが高発現している細胞株では高い腫瘍形成能を示した。これらの腫瘍を組織切片で染色した結果、HIF-1a高発現細胞株では筋層への浸潤が多く見られたことからHIF-1aが転移能を上昇させることも示唆された。 本年度行う予定であったDNA array解析は行えなかったため次年度行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年の末に所属研究室の移転があり、それに伴い2ヶ月間実験を停止した。さらに実験再開後も移転に伴う複数の機器に不具合が生じ、思うように実験を進めることが出来なかった。そのためDNA array解析が次年度へ持ち越させる事になった。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度は今年度行えなかったDNA arrayの解析を中心にsignal pathwayの解析を行う。また、HIF-1aの発現や転写活性が異なる細胞株をnude mouseへ移植し、その腫瘍組織の免疫染色や、薬剤投与実験を行う。HIF-1aの転写活性の有無による腫瘍形成能の差異や薬剤に対する薬剤抵抗性さらに再発率についての解析を行う予定である。
|
Research Products
(1 results)