2020 Fiscal Year Annual Research Report
高齢個体における正常な卵子形成を保障するリン酸化修飾制御の解明
Project/Area Number |
18J40202
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 綾 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 減数分裂 / 生殖細胞 / DNA二重鎖切断 |
Outline of Annual Research Achievements |
正常な卵子・精子を産出するためには、減数分裂期に正確に染色体が半数化されなければならない。減数分裂において染色体を分離するためには、分裂前期に、母方・父方相同染色体が相同組み換えによって交叉を形成することが必須である。減数分裂前期、生殖細胞は、SPO-11と呼ばれるDNA切断酵素を発現することで、DNA二重鎖切断を任意の箇所につくり、相同組み換えと交叉形成を開始する。申請者は、以前、線虫PP4ホスファターゼの変異株ではこのDNA二重鎖が十分量作られないことを示した。本研究は、PP4ホスファターゼがDNA二重鎖切断量を制御する分子メカニズムを明らかにすることを目指す。昨年度、我々は、DSB-1の非リン酸化型変異株が、pph-4変異株のサプレッサーとなることを見出した。今年度、申請者の出産休暇に入るまでの期間において我々は、dsb-1非リン酸酸化型変異株の表現型解析、GFPタグ付けしたDSB-1の生細胞イメージング及び、DSB-1の免疫沈降の条件検討を行った。まず、dsb-1非リン酸酸化型変異株の表現型解析より、この変異株では、DNA二重鎖切断が野生型に比べて増加すること、pph-4; dsb-1非リン酸型の二重変異株では、DNS二重鎖切断量がレスキューされるために、dsb-1変異株がpph-4変異株のサプレッサーになることを示した。また、dsb-1非リン酸型変異株が、パラログであるdsb-2の変異株をレスキューすることも示した。生細胞イメージングでは、従来の免疫染色とは異なる局在が見られ、DSB-1の局在が、ホルムアルデヒド固定を行う免疫染色ではin vivoの状態を維持できないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、前年の研究報告にあるように、pph-4変異株の性質から、当初の計画を大きく変更せざるを得なかったため、研究の進捗状況に遅れがある。また新型コロナウイルス感染拡大に伴う研究室、保育園の閉鎖、技術員の欠勤による研究中断、また、申請者自身の妊娠による体調悪化による遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
高齢個体、若齢個体におけるDSB-1発現量やリン酸化量の変化を生化学的実験より検証す る。加えて、DSB-1タンパク質を線虫より精製し、相互作用因子同定などの生化学的解析を行う予定である。
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