2021 Fiscal Year Research-status Report
哲学の勧め及び哲学の歴史と歴史の哲学に関するアリストテレスの第一哲学構想の研究
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18K00022
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| Research Institution | Nanzan University |
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Principal Investigator |
坂下 浩司 南山大学, 人文学部, 教授 (20332710)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 形而上学 / 哲学の歴史 / 歴史哲学 / 哲学の勧め / 存在論 / アリストテレス / レートリケーとしての歴史 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
「研究初年度」である平成30年度の、Primavesi 2012による『形而上学』第１（Α）巻の新しい画期的なギリシア語本文に関する文献学的・写本系統学的問題のFazzo/Golitsis 2016論争についての調査・研究を踏まえ、「研究第２年度」である令和元年度、Politis and Su 2017の問題提起を受けて『形而上学』第１巻と第４（Γ）巻の本質的な関係を考察し、「研究第３年度」である令和２年度、単著の学術論文「『形而上学』Γ巻第１章の《存在論》再論」にまとめ、査読付き学会誌に投稿し掲載された。平行して、『形而上学』第５（Δ）巻後半（第17章から第30章）と第６（Ε）巻の下訳を行った。これにより、当初の予定の「第１から第６巻までの下訳」が完成した（第１稿）ので、引き続き、より詳細な「第２稿」作成のため、１０月以降Zoomを使用したテレビ会議等を行い、第１巻の「第２稿」を完成させた。コロナ禍による進行の遅れが生じたので延長を申請し受理された延長初年度（通算第４年度）は、第１巻の「第２稿」を使って大学で「現代形而上学と古代形而上学」という学部向け授業を行い、学生からのリアクションを見ながら原稿を改善し、第１巻第１章から第３章までの分（４００字詰め原稿用紙１２０枚程度）について「第３稿」を完成させた。これを、南山大学の紀要の『アカデミア』に発表した。そして引き続き第１巻第４章から第７章までの分（４００字詰め原稿用紙１００枚程度）の「第３稿」のための作業を続行した、これについては、延長２年度（通算第５年度。なおこの延長については既に申請し受理されている）に、『アカデミア』にて発表予定である。『形而上学』第１巻のPrimavesi 2012による新しい本文の日本語訳と注釈はまだ存在せず、専門家にとっても一般の読書家にとっても大きな文化的意義をもつ。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
（３）の「やや遅れている」を選択した理由は、以下の通りである。【状況に関して】令和2年春頃から始まった新型コロナウィルスの流行により、令和３年度もまた、日常の授業および会議がすべてオンライン化され続け、前年度ほどではないものの、やはり研究の進展に遅れが生じてしまった。【成果発表、とりわけ『形而上学』の翻訳と注解に関して】発表を予定していた４つの内の最初のもの「アリストテレス『形而上学』Α（第一）巻第一章から第三章──訳と注解──」（４００字詰め原稿用紙１２０枚程度）は紀要に発表することができたが、「同・第四章から第七章」の部分の「訳と注解」（４００字詰め原稿用紙１００枚程度）、および「同・第八章から第一〇章」の部分の「訳と注解」（４００字詰め原稿用紙８０枚程度）、そして第一巻の「解説」の中心となる「アリストテレスと《哲学史》──『形而上学』Α（第一）巻における「哲学の勧め」部（第１─２章）と「自然学的四原因論史」部（第３─１０章）との内的関係についての歴史哲学的反省──」（４００字詰め原稿用紙４０枚程度）は公表にいたれなかった。【物品の購入に関して】図書について、特に本年度の関係する新刊書が、調査が行き届かず、ほとんど購入できなかった（De Incessu AnimaliumのFalcon and Stvrianeas 2021による新しい本文と訳と解釈、とりわけ、『形而上学』関連で自分が注目している古典文献学者のP. Golitsisが新しく編纂したアレクサンドロスの『形而上学』Α巻, α巻, Ｂ巻への古註の2022年出版予告も見落としてしまっていた）。以上の理由から、（３）の「やや遅れている」を選択した。
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| Strategy for Future Research Activity |
【１】進捗が「やや遅れている」原因は、主としてコロナ禍によってオンライン授業・会議関連の諸作業に時間を割かねばならなかったことにあった。これについては、令和３年度末に「科学研究費助成事業（学術研究助成基金助成金）補助事業期間延長承認申請書」を提出し承認され、令和４年度に本研究を継続できることになった。「継続」によって、令和３年度の遅れを取り戻し、研究を推進する。【２】令和３年度に発表できなかった前述の３つの文書は、令和４年度に『アカデミア』に発表を予定しており、特に「アリストテレス『形而上学』Α（第一）巻第四章から第七章──訳と注解──」（４００字詰め原稿用紙９０枚程度）は掲載が既に決定し、令和４年５月現在、校正中である。個人訳・註・解説『形而上学』第１分冊は、翌令和５年度に刊行予定で原稿を作成中。【３】「新しい知恵の探求への勧め（プロトレプティコス）・始原の事実的な歴史的反省・体系的なアポリア研究・一般的な存在論、そしてΕ（第６）巻の神学的特殊存在論」の５つの要素からなる『形而上学』第１─第６巻研究の構想が得られたので、この「５要素構想」の観点から第１巻・第３巻・第４巻の見直し作業を進める。【４】Zoomを使った２つの『形而上学』研究会を引き続き行い、さらにアリストテレスに詳しい同じ古代哲学研究者・中世哲学研究者や現代分析哲学系形而上学研究者・大陸系存在論研究者とも研究会をもつ。【５】最後に、『形而上学』第１─第６巻の翻訳・注釈・解説の出版用原稿を作成する。
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| Causes of Carryover |
新型コロナ禍による本務校の校務のオンライン化のための諸作業により遅れが生じた。購入予定であった書籍、アリストテレス『形而上学』関係の新規出版分、ペリパトス派関係、および、諸機器を購入する。
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Research Products
(1 results)
