2019 Fiscal Year Research-status Report
二つの人権原理と普遍ルール社会構想―人権概念と共生論の哲学的考察
Project/Area Number |
18K00026
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Research Institution | Osaka University of Economics and Law |
Principal Investigator |
金 泰明 大阪経済法科大学, 法学部, 教授 (10388613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山竹 伸二 大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (90388629)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 普遍共生論 / ルール的人権原理 / 価値的人権原理 / ケアの原理 / 心理療法の共通原理 / 障害者雇用 / 複数言語育児 / 地域包括ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
定例研究会を中心に研究活動を展開。共生論研究会・第6回・定例研究会:2019年2月16日。1)「複数言語環境で成長する子どもの日本語教育」(発表者:稲垣みどり);①博論の内容(海外、アイルランドにおける「複言語育児」を実践する日本人の親たちのライフストーリー)を主に報告。2)「障害者の就労支援」(発表者:佐藤文昭);障害者雇用(特に精神障害者や発達障害者)について解説。・第7回・定例研究会:2019年4月13日。報告「言語政策と共生論」(発表者:福島青史);言語政策論について(定義、歴史的展開)/入管法の改正について/言語政策と共生論について・第8回・定例研究会:2019年6月8日。報告「救急医学・医療の先駆性」(発表者:行岡哲男)、地域医療構想の目的と方策/20世紀の医学と医療/21世紀の医療ニーズの変化/ 病床機能区分の妥当性と課題/救急医療の先駆性。・第9回・定例研究会:2019年8月3日。報告「近代『人格』概念の原理的考察と欲望論」(発表者:金泰明)、高齢者福祉を含む、普遍共生社会の構想について、竹田青嗣の欲望論に基づいて考察。・第10回・定例研究会:2019年11月9日。報告「保育の現象学的研究」(発表者:山竹伸二)、全国私立保育連盟の委託研究「自由の主体と保育の原理」について、これまで視察してきた保育園について報告。これからの共生社会に不可欠なケアの原理を考える。・第11回・定例研究会:2019年12月7日、報告「西研『哲学は対話する』の検討会」(発表者:金泰明・山竹伸二)、第2部の「合理的な共通了解をつくりだす」について意見交換。・第12回・定例研究会:2020年1月11日。報告「科研費研究内容についての出版企画検討会」、科研費研究論文集の書籍企画。多文化共生のみならず、多世代共生、障害者との共生など、“普遍共生社会”というキーワードをもとに話し合う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由;昨年度のつづき、「共生論研究会」のメンバーによる報告が、各自の研究・実践領域で抱える諸問題を踏まえてより深く原理的な考察に値する内容をもって実施することができた。さらに金泰明(代表者)は2本の論稿を発表し「普遍共生論」の輪郭をつかんだ。山竹伸二(分担者)も精力的な現場の視察を踏まえて、普遍共生論を実践原理として深め鍛える研究を深めている。こうした金泰明、山竹伸二ら研究員の原理・実践研究により、普遍共生社会を展望する可能性と条件を構築しうるものと思う。
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Strategy for Future Research Activity |
2年間の共同研究の成果として、「普遍共生」というまったく新しい研究課題・研究方向性を「共生論研究会」のメンバー共通の問題意識として共有できたのが一番大きい成果である。この課題・方向性でさらに研究と議論を進め、研究成果としての「共同論文集」を作成、出版する予定である。
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Causes of Carryover |
2020年初頭から「コロナウィルス対策」の一環として研究者の東京および地方での研究会開催や視察が一切中止するのに伴い、主として交通費および宿泊費関係の支出がほぼゼロになった。今後、コロナウィルスの終息状況に合わせて、研究会活動を再開し活性化する予定である。それに伴い、いったん中止となった東京での研究会および大阪での研究セミナーを今年度後半、もしくは研究年度を一年延期して、開催していく予定である。
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Research Products
(3 results)