2020 Fiscal Year Research-status Report
二つの人権原理と普遍ルール社会構想―人権概念と共生論の哲学的考察
Project/Area Number |
18K00026
|
Research Institution | Osaka University of Economics and Law |
Principal Investigator |
金 泰明 大阪経済法科大学, 法学部, 教授 (10388613)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山竹 伸二 大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (90388629)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 普遍共生 / 触発のエロス / 共感の原理 / 存在のマイノリティ / 言語の多元化 / 主権的身体 / エロス存在 / 価値とルールの人権原理 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、コロナ禍状況のためzoomによる研究会を軽5回開催し、つぎのような内容と研究成果を収めた。第1回研究会:2020年7月11日、テーマ:「普遍共生における哲学原理」(発表者:岩内章太郎)、内容:新しい普遍性は多様な他者に開かれているべきであり、現象学的言語ゲームが必要になる。多様な人々との共通了解の原理を考えることで、普遍共生社会の基礎理論を構想する。第2回研究会:2020年9月12日、テーマ:「相互ケアと普遍共生社会」(発表者:山竹伸二)、内容。現象学的な人間論からケアの原理を問い直すことで、相互ケアのシステムを中核とする共生社会が構想できるのではないか。「心のケア」「相互ケア」をキーワードとして、普遍共生社会を考える。第3回研究会:2020年11月22日、テーマ:「学校という場で・学校という場を考える」(発表者:阿見拓男)、内容: 共生の礎として学校を捉えなおす。同調性、同質性の強い学校から多様性の学びへ。共生について話し合う授業例などを紹介。共生のための新しい学校像を提示。 第4回研究会:2021年2月27日(発表者;金泰明)、テーマ:「普遍共生の原理的考察―認知症との共生を考える」(発表者:金泰明)、内容:認知症を「障碍者」の観点から、「意識・主観」内での他者像の確信成立を考察する。さらに、認知症の「生の世界」を「触発・感受」の原理から探究する。「主権的身体」をもつ自由な存在として認知症者の「生の世界」を再認識する。第5回研究会:2021年4月24日、テーマ:「精神障害者への就労支援」(発表者:佐藤文昭)、内容: 精神障害者の闘病から就労までのリハビリのプロセスを、療養生活、社会生活の準備、就労の準備、障害枠で働く、一般枠で働く、といった五段階に分け、それぞれ必要な条件、問題点を明確にする。精神障害者との共生社会を見据えた理論を構想。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者の金泰明は研究成果として草稿「普遍共生の原理的考察―認知症との共生を考える」(76000字)をまとめ、本務校の「法学論集」や『本質学研究』に発表した。 認知症者と精神障碍者との共生を「現象学」と竹田「欲望論哲学」の原理にもとづいて考察するという新しい試みとしての論稿として納得するものである。認知症を「障碍者」の観点から、また「意識・主観」内での他者像の確信成立の問題と考察することによって、認知症の「生の世界」を五感とりわけ「触発・感受」の原理から解明できる可能性を確信できた。「主権的身体」をもつ自由な存在として認知症者の「生の世界」の探究を進めたい。 研究協力者の山竹伸二は、高齢者、障害者の増加する超高齢化社会において、看護や介護などのケアの問題を「ケア」と「共感」の原理の観点から研究を進めている。「相互ケアと普遍共生社会」および「共感の原理」を発表した。。現象学的な人間論からケアの原理を問い直すことで、相互ケアのシステムを中核とする共生社会が構想できると確信する。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究代表者の金泰明は研究成果として「普遍共生の原理」にもとづいて認知症との共生論を完成させたい。研究成果として単著「普遍共生論-認知症を生きる」を発表する予定である。 研究協力者の山竹伸二は、独自の「承認関係論」を元に、今後は、認知症の問題を「心のケア」「相互ケア」をキーワードとして、今後も普遍共生社会の考察を続ける。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍のため研究代表者の金泰明が主催している東京での「共生論研究会」(面談による研究会)を開催できず、旅費(交通費・宿泊費・会場費等)の出費がまったくなかったため。
|
Research Products
(4 results)