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2019 Fiscal Year Research-status Report

Research on general structure of consciousness based on Husserl's phenomenology of time-consciousness

Research Project

Project/Area Number 18K00048
Research InstitutionTokai University

Principal Investigator

村田 憲郎  東海大学, 文学部, 教授 (80514976)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywordsフッサール / 時間意識 / ブレンターノ
Outline of Annual Research Achievements

2019年度の実績としては、フッサールの時間意識の現象学に関連する、ブレンターノ学派の時間意識の議論の諸動向が明らかになったことが挙げられる。とりわけ、前年度からの課題である、ブレンターノの時間論のより立ち入った理解のための準備作業と、また広い意味ではブレンターノ学派の一動向ではあるがブレンターノ自身の哲学から離反しつつあったマイノングの複合体の理論の発展に即した理解が試みられた。その研究は一定の成果を挙げたと考えている。
具体的には、まず第一に、ブレンターノの時間論のより詳細な理解のために、オーストリア、グラーツ大学のブレンターノ文庫を訪問し、関連する未公刊の講義ノートを閲覧することができた。このノートの集中的な検討は2020年度に行う。また第二に、昨年度に発表したブレンターノの時間論とそのフッサールによる乗り越えにかかわる研究、およびマイノングとシュテルンの時間論に対するフッサールの対応にかかわる研究を、それぞれ論文にまとめ公表することができた。第三に、マイノングの複合体の理論に直接的な影響を与えたと思われるエーレンフェルスの論文「ゲシュタルト質について」を詳細に検討しすることができ、その成果は、この論文そのものの日本語訳として発表された。これによってマイノングがどのようにブレンターノから離反するに至ったのかを明確化することができた。
そのほか当年の課題として、彼の初期時間論の成立を1900年代後半のフッサールの発展を詳しく跡づけながら理解するという作業を進めた。この作業は目下のところ進行中である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

「やや遅れている」としたのは、2019年度に主にとりくむ予定であったフッサール自身の発展史的研究が、思うように進まなかったことによる。その理由の一つは、ブレンターノ研究およびマイノング研究に予想以上に時間を取られてしまったことである。この点に関しては、来年度もまた、1906/7年の講義『論理学および認識論入門』(全集24巻)、1907年の『現象学の理念』(2巻)、『物と空間』(16巻)を中心に、引き続き検討を行いたい。
ただしそのぶん、ブレンターノおよび彼の学派の研究に関しては、それなりの進捗があった。とりわけ当初は予想していなかったことして、晩年のブレンターノと交流のあったプラハ・ブレンターノ学派のH.ベルクマンの存在を知ったことは大きな収穫であった。彼の内的知覚論はブレンターノの見解をより明確化したものであるが、フッサールの内的知覚論への直接的な批判も含んでいるだけに、比較しやすいという利点がある。具体的にはその批判は内的知覚における「統握-内容」図式にかかわっているが、奇しくもそれはフッサールが時間意識においてこの図式を放棄することと軌を一にしている。この研究については、三月にその成果を発表する予定であったが、今回のコロナウィルス発生により叶わなかった。しかしおおよその見通しはついたと言えるので、近いうちに発表することにしたい。

Strategy for Future Research Activity

引き続き1900年代のフッサールの発展史をあとづけるという課題が中心となるが、2020年度は本研究の最終年度にあたるので、これまでの学説史的研究をふまえ、フッサールが直面したと思われる哲学的問題をより理論的に明確化することに労力を費やしたい。そのため、時間意識の現象学において何が問題になっているのかを何点か挙げて定式化した上で、それら複数の問題を同時に解決するような道として、存在の学としての形而上学の課題や、時間を構成する超越論的な意識の流れの意義を考えたい。理論的課題としては以下の三点について考えていきたい。

・時間の経過そのものについての知覚の可能性
・「統握-内容」図式のゆくえ
・自己意識を時間意識によって説明することの欠点/利点

Causes of Carryover

2019年度には、最終年度の2020年度に外国からこのテーマの識者を招聘して国際ワークショップを開く計画を立て、着々と準備をしていたが、そこでそのゲストの旅費と宿泊費、国内での移動費、および私自身のアテンドにかかる費用などを見込んで、2019年度は節約する方針でいた。また、私の研究は19世紀後半の資料を読む作業が主になったが、この時代の一次文献は思ったよりもWeb上でアーカイブ化されており、資料費を少なく抑えることができたことも、費用を抑えることができた理由である。こうして節約したぶんの費用は、最終年度に予定している国際ワークショップにあてたい。
ただし今年度の新型コロナウィルス発生により、ワークショップがさらに延期になることも考えられるので、今年度の予算は昨年度に見送った最近の研究事情に関する二次文献の収集や、機器の購入などに使用し、計画的な運用をしながら、ワークショップの費用をさらにプールして、最終的にまた延長使用の申請をすることも考えられる。

  • Research Products

    (7 results)

All 2020 2019 Other

All Journal Article (6 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] マイノング-シュテルン論争とフッサール2020

    • Author(s)
      村田憲郎
    • Journal Title

      フッサール研究

      Volume: 17 Pages: 18-41

  • [Journal Article] P. ゴルディのナラティヴ論 --The Mess Insideを読む--2020

    • Author(s)
      村田憲郎
    • Journal Title

      東海大学紀要 文学部

      Volume: 110 Pages: 65-78

  • [Journal Article] クリスチャン・フォン・エーレンフェルス「『ゲシュタルト質』について」2020

    • Author(s)
      村田憲郎
    • Journal Title

      こころの科学とエピステモロジー

      Volume: 2 Pages: 30-66

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] シュテルン、フッサールと「ロッツェ想定」 --ギャラガーの議論から--2020

    • Author(s)
      村田憲郎
    • Journal Title

      こころの科学とエピステモロジー

      Volume: 2 Pages: 70-75

  • [Journal Article] How Is Time Constituted in Consciousness? Theories of Apprehension in Husserl's Phenomenology of Time2019

    • Author(s)
      村田憲郎
    • Journal Title

      New Phenomenological Studies in Japan

      Volume: 1 Pages: 17-28

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 1905年の時間論はどのような意味で現象学的還元を先取りしているのか2019

    • Author(s)
      村田憲郎
    • Journal Title

      現象学年報

      Volume: 35 Pages: 77-84

    • Peer Reviewed
  • [Remarks] Researchmap 村田憲郎

    • URL

      https://researchmap.jp/noriomuratajp

URL: 

Published: 2021-01-27  

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