2020 Fiscal Year Research-status Report
A Basic Study on the Constitution of the Soma Sacrifice in the Vedic Literature
Project/Area Number |
18K00057
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大島 智靖 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 研究員 (60626878)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ヴェーダ / ソーマ祭 / アグニシュトーマ / 祭式 / 現代インド / 古代インド / 儀礼 / 婆羅門 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度末2020年2月、インド・ハリドワールにおけるソーマ祭(すなわちアグニシュトーマ)の取材で記録した映像を基に、現代におけるソーマ祭の現状と古代文献より再構築するソーマ祭との間にある継承と断絶について、さらなる考究を進めた。ハリドワールにおけるアグニシュトーマの内容は基本的に、カルナータカ州及びマハーラーシュトラ州で発見された1800年代前半から中盤にかけてのものとされるパームリーフ写本群をエディットした2009年出版の『アーパスタンバ・シュラウタスートラ・プラヨーガ』(=AZP)に依っている。本年度は、AZPとタイッティリーヤ派諸文献を照らし合わせて、アグニシュトーマ冒頭の「潔斎イシュティ」という穀物献供儀礼における儀礼行為の確認と、適用された詩節/マントラ/サーマンの文字起こしを行った。一部確定できない部分や不可解な点も見られたが、全体的に古代文献に遺された詩節やマントラの再現の忠実さを確認することができた。この研究と並行して、AZPのアグニシュトーマ部分のローマナイズ及び読解も進めた。これは今回記録されたアグニシュトーマの次第を理解するための資料として不可欠であり、有益なものである。最終的にはローマナイズテキストと日本語訳あるいは英語訳という形で公表したいと考えている。 今後、現存する各学派のシュラウタ・スートラ文献を総合し、古代文献から再構築するアグニシュトーマと、現代に継承されるプラヨーガ文献に依ったアグニシュトーマとの継承と断絶・変容について、映像分析と併せて進めていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により、年始に予定されていた国際サンスクリット学会が延期となった。また国内学会もオンライン化や中止など混乱し、移動の制約で研究会等も減り、全体的に研究活動に制約があった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、映像分析により現代のアグニシュトーマがどのように行われているかを記録し、AZPのローマナイズ及び読解も進めていく。 また、昨年度から引き続き行っているように、ブラーフマナ文献はもとより、各学派のシュラウタ・スートラ文献も重視して古代のアグニシュトーマを再構築し、さらに新出のヴァードゥーラ学派のシュラウタ・スートラを総合しつつアグニシュトーマという祭式の歴史的展開を明らかにすることを目指す。
|
Causes of Carryover |
2021年1月に開催予定であった国際サンスクリット学会が延期となり、次年度使用額が生じた。現段階では本年度中に開催予定ではあるので、その際に使用する計画である。
|