2023 Fiscal Year Annual Research Report
A Comparative Study of the Influence of the International Congregation for Education on the Formation of Women's Views of Society in Modern Asia and Japan
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18K00082
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Research Institution | Shirayuri University |
Principal Investigator |
佐々木 裕子 白百合女子大学, 基礎教育センター, 教授 (60286888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 誠 立教大学, 文学部, 教授 (60308088)
大迫 章史 東北学院大学, 教養学部, 教授 (60382686)
坂野 正則 上智大学, 文学部, 教授 (90613406)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 国際教育修道会 / 女子教育 / カトリシズム |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き海外での研究・調査が困難であったため、近代日本及びアジアにおけるフランス系国際教育修道会の影響に関して、それらの修道会が創立された当時の本国の社会状況などについて文献や資料を通して再確認する作業を行った。それと同時に、今までに収集・整理を行ってきた資料のうち、まだデジタル化がなされていず、一般に未公開である資料についてはデジタル化を実施すると共に、それら文献の比較解読を行った。近代アジアにおいて女子教育という営みを通して女性たちに社会に対する見方、とりわけ社会への具体的なコミットメントという視点が醸成されていく過程において、実際のインターフェースとなった国際教育修道会の歴史及び創立者の思想とその背景に関して、主にフランスの状況を確認する作業に従事した。修道会創立当時(17世紀)のフランス本国において、フランス学派など南仏における司祭養成、特に学問的養成の刷新をもたらした思想的潮流、また、当時まだ修道院外で活動することが非常に困難であった伝統的な女子修道会が院外における各種使徒職に従事するためにこの時代に導入した新しい修道会のシステムなどはすでに知られるところであるが、そのような流れの中で特に、北フランスにおいて女子教育の発展に多大な影響を与えた貴族・王族の女性たちやその保護者・指導者の教育観の背景に意識されていたユグノーたちの思想の影響が、その後のフランス系修道会系女子教育に影響を与えたと考えられることが明らかとなった。特にその後、フランス革命による「冬の時代」を経たフランス系女子教育修道会は本国での理想の実現が困難となる中、その教育の理想の実現をアジア等国外に広げ、より先鋭的に社会課題を念頭においた教育がなされていった。特に幾つかの女子修道会のアジアへの進出には、当時まだ鎖国中であった日本に関するヨーロッパの高い関心が影響を与えていたことも明らかとなった。
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