2021 Fiscal Year Research-status Report
日本と韓国・朝鮮における「信教の自由」をめぐる比較宗教史的研究
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18K00086
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Research Institution | Keisen University |
Principal Investigator |
李 省展 恵泉女学園大学, 人間社会学部, 名誉教授 (10279664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小檜山 ルイ 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (70186782)
徐 正敏 明治学院大学, 教養教育センター, 教授 (70647255)
坂井 悠佳 明治学院大学, キリスト教研究所, 研究員 (20834071)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | グリフィス / グリフィス・コレクション / 信教の自由 / 宣教師の政治的中立 / ミッション・スクール / 3・1独立運動 / コロニアリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究はコロナ・ウイルス感染拡大により制限が生じ、すでに収集した資料分析、国内で入手可能な資料に基づいた研究活動が中心となった。研究代表者の李は、グリフィス・コレクションのKoreaセクションを中心とした資料分析を行った。Koreaのセクションにおいて、研究テーマ―の「信教の自由」に関しては朝鮮総督府のミッションスクールの弾圧を明らかにする独立運動関連資料が数多くみられることが判明した。これらの資料などの分析を行い、新たな知見を獲得した。グリフィスは日本の「韓国併合」は新たな実験であり、必ず成功するととの確信を披歴したが、3・1独立運動の発生により、その信頼に揺らぎが生じ、日本の植民地支配はアメリカのフィリピン統治と比較すると非人道的であるという認識の転換が生じることとなる。 コレクションには、李承晩や海臨時政府の要人との交信が散見される。また宣教師との交流も見られる。培材学校校長のアペンゼラー2世の3・1独立運動直後の書簡では総督府の腐敗を批判し、独立運動をアメリカ史の文脈で理解している。またマッキューン文化政治批判書簡や学生の拷問に対する反対声明、女子学生による性拷問の証言が存在する。このような文書の存在はグリフィスの日本の植民地支配が人道的でないという認識の転換をもたらしたものとなったと考えられる。李はこの内容をキリスト教史学会で報告し、評価され22年度の『キリスト教史学』に掲載されることとなった。 小檜山は、『フェリス女学院150年史』の1870年から90年代担当、執筆した。90年代の帝国日本の国家としての輪郭が定まっていく90年代、また日清戦争によるナショナリズムの高揚の中でキリスト教批判が展開され、フェリスが困難に陥った詳細を明らかにした。 3月26日には松山健作氏を招き研究会を開催し、朝鮮聖公会と信教の自由に関する知見を共有することができ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度の研究は昨年度と同様にコロナ・ウイルス感染拡大により、かなりの制限が生じることとなった。そのために、研究の遅れが生じたことから、研究期間を一年延長せざるをえなかった。特に本研究の中核をなす海外資料調査ならびに資料収集の実施不可能は研究進捗の大いなる痛手となった。そのことから、22年度に実施予定とされる韓国での海外資料共同調査と共同研究、研究代表者のオーストラリア、ハワイにおける資料調査に備えて、できるだけ研究費の支出を控えることとなった。また本来ならばヨーロッパにおける資料収集も計画はしていたものの、同様な理由から実現が困難となっている。 上記のような理由で、本研究の柱である一次資料の収集が遅延していることから、ある程度成果が見えた段階で、国際シンポジュームなどの企画も進展させていく予定であったが、資料収集・分析の遅れから実施を見合わせている。 コロナ・ウイルスの感染拡大の影響が2年にわたったことから、1年研究機関を延長したのではあるが、延長期間1年では、研究の遅れを取り戻すのがかなりスケジュール的にも困難を極めている。 以上の事柄が研究の遅れの理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は研究最終年となるが、進捗状況にも記したように、研究の遅れを取り返すべく、海外での資料調査・共同研究を加速化させたい。 現在の日本政府の渡航緩和政策の進展を踏まえて今年の夏には、韓国に渡航し、韓国において資料収集ならびに韓国の研究者を交えての意見交流、共同調査ならびに研究合宿を開催する予定である。 研究代表者の李は、来年2月にはハワイ大学のマッキューン・コレクションに所収されている資料を調査・収集予定でいる。現在までの研究から「信教の自由」との関連で朝鮮における宗教史上、特に一貫してこのテーマの抱える問題を体現する象徴的人物であることが明らかになりつつある。ハワイ大学はジョージ・マッキューンの子息が国際関係論の教授として赴任していたことから、マッキューン・ファミリーの書簡類などを含めた資料が存在することが判明しており、この資料の収集・分析は今回の研究において不可欠である。また韓国の南部の釜山周辺ではオーストラリア長老派が宣教を担っていたことから、オーストラリアにおいて、可能であれば3月に予定されるオーストラリアにおける資料調査を実施する。研究に後れをきたしていることも踏まえて、研究継続のため本研究グループは次年度の科学研究費助成の申請を行う予定でいる。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症の拡大のため、予定していた海外調査・共同研究が制限されたため研究期間を1年延長することとしたため。
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Research Products
(10 results)