2021 Fiscal Year Research-status Report
「植民地朝鮮における日本人宗教者に関する基礎的調査研究」
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18K00090
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Research Institution | Shikoku Gakuin University |
Principal Investigator |
金 泰勲 四国学院大学, 文学部, 教授 (10608706)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 植民地朝鮮の日本人宗教者 / 朝鮮総督府宗教関係文書 / 近代日韓宗教関係データベース / 近代日韓宗教史 / 朝鮮総督府の宗教政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は主にデータベースHP「植民地朝鮮の日本人宗教者」(jrpkc.org)の完成度向上に尽力した。『朝鮮総督府官報』(1910-1945)の宗教関係記録をデータベース化して上記HPへの情報入力を完了した。布教者数から見れば、天理教627名、神籬教1名、法華宗38、キリスト教322名、神習教6名、金光教123名、大社教64、扶桑教46名、神理教68名、丸山教2名、真宗山元派15名、真宗大谷派456名、真宗仏光寺派13名、真宗木邊派2名、真宗本願寺派512名、真宗興正派7名、浄土宗196名、法相宗1名、臨済宗48名、真言宗271名、黒住教12名、日蓮宗119名、曹洞宗232名、黄檗宗5名、実行教6名、御嶽教12名、天台宗33名、華厳宗13名、その他神道神社関係142名で合計3392名のデータ情報を更新することができた。 また、朝鮮総督府が作成した宗教関係文書(韓国国家記録院所蔵)はその原文が韓国語タイトルでweb公開されている関係で日本語話者には正確なアクセスが不便だった。それを日本語原文にリストを作成して上記HPから直接アクセスできるようにすると同時に、原文の翻刻作業にも取り組むことができた。2021年度には『宗教雑件綴』(1926年、管理番号CJA0004776)と『寺院創立願ノ件及其他関係』(1929年、管理番号CJA0004784)の翻刻を完了してHPに公開している。 これらの成果について、「データベースHP「植民地朝鮮の日本人宗教者」構築の日常」(東アジア思想文化研究会、2021年11月20日、Zoom会議)と「DBHP「植民地朝鮮の日本人宗教者」進捗状況報告―「朝鮮総督府宗教関係文書」を中心に―」(植民地朝鮮宗教政策研究会、2021年11月27日、Zoom会議)で研究報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来、本研究は2020年度を最終年度と予定していたが、コロナの関係で韓国及び日本国内への現地調査が研究最終年度において著しくできなかったため、2021年度にその終了を延期した。しかし、2021年度にもコロナの状況は好転せず、前年度同様に現地調査はできなかった。そのため、2022年度までに2回目の延期をしている状況にある。 要するに、追加的な現地調査の実施とその成果を本研究にまとめる課題が残っている。特に、韓国への現地調査の目的としては、植民地期に布教の拠点となっていた各宗派の布教施設の現在を確認することであった。研究1年目と2年目における現地調査の成果によって多数の現況は把握できたものの、それらに対する本格的な調査が中断となっている状況である。本年度の夏以降、検疫緩和の状況も期待されており、可能な限り現地調査の最終的な成果がまとめられるよう努めていきたい。 一方、HP「植民地朝鮮の日本人宗教者」(jrpkc.org)の完成度は高くなっており、2021年度は年間2400人以上のアクセスを達成した。専門の研究者のみならず、一般の方々へ向けた研究成果の発信は充実している。現在も毎月200人以上のアクセスが維持されている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度を本研究最終年度(第1期)として、その研究報告書の作成に尽力する。そのために不足している韓国への現地調査を行い、その成果を反映させたい。 朝鮮総督府官報と宗教関係文書から得られた情報と、確認できる現地の現況を照らし合わせていく。特に、宗教関係文書の翻刻から得られた新情報が多数あるため、それらの具体的な確認を行う作業が必要である。 これらの成果を、韓国宗教学会、日本宗教学会など関係研究会を通して研究発表を行う。また研究最終年度の報告書を作成する。 そして今年度から本研究を引き続き発展させていく時期研究課題(第2期)「植民地朝鮮の日本系宗教に関するデジタルアーカイブ基盤の総合的プラットフォーム構築」(基盤研究C 22K00090 2022~2026)」へつなげていく。
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Causes of Carryover |
2020年度に予定していた韓国への現地調査がコロナの関係でできなかったため、研究最終年度を2022年度に延長している。 本年度は6月以降、コロナ検疫緩和も期待されており、延期していた韓国現地調査を行うことに次年度使用額を当てたい。
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