2018 Fiscal Year Research-status Report
Culture and General Education in Nineteenth-Century Britain
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18K00102
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Research Institution | Kushiro Public University of Economics |
Principal Investigator |
藤田 祐 釧路公立大学, 経済学部, 准教授 (90710830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崎山 直樹 千葉大学, 国際教養学部, 講師 (10513088)
小田川 大典 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (60284056)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 教養 / 教育 / 知性 / 啓蒙 / 大学 / アイルランド / ニューマン / ハクスリー |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の平成30年度は、3人がそれぞれ担当する論点と対象についての研究をすすめた。2019年3月に岡山大学で開催した研究報告会では、三人がそれぞれの成果を報告し、研究成果の共有と論点の整理を行った。3人それぞれの研究実績は以下の通りである。 小田川は、20世紀を代表する知識人による教養と反知性主義の研究、そして近代ヨーロッパの啓蒙を対象とする研究から本研究課題の核となる問題を設定した。2019年5月に小田川が企画に携わって開催される政治思想学会研究大会に向けて、統一テーマ「政治思想における知性と教養」を位置づける論考「知性と、教養と、啓蒙。―統一テーマによせて」を『政治思想学会会報』47号に寄稿した。 崎山は、2018年9月に、19世紀半ばにアイルランドで新設された大学をめぐってどのような議論が行われたのかについてアイルランドで研究調査を行った。研究調査の成果に加えて、J・H・ニューマンの大学論との関係も考察し、3月の研究会で研究報告を行った。また、現在の日本の大学が抱える問題点についても研究調査と考察をすすめて論考を執筆した。 藤田は、科学論を中心として様々な文脈でハクスリーの教養教育論を分析し、3月の研究会で研究報告を行った。当研究課題での研究を遂行する上でも、2018年までに続けてきたハーバート・スペンサーやT・H・ハクスリーの進化社会理論の研究成果を下敷きにしており、その一部は論文集に編まれる論文にまとめられている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、研究課題をどのような問題設定に基づいてどのような論点について研究を進めていくかについて、先行研究をふまえて掘り下げて3人で共有することを、初年度の目標とした。2019年3月の研究会では、小田川の問題提起に基づいて本研究課題で解明すべき論点について共通の認識をもつことができた。崎山と藤田もそれぞれの方法論に基づいて研究課題についての研究を進め、崎山はアイルランドの研究調査に基づいて、藤田はハクスリーの科学論と教育論のテクストとコンテクストの分析に基づいて、3月の研究会で研究報告を行った。3月の研究会で確認した問題点やさらなる論点をふまえて、3人がそれぞれ担当する領域の研究を深めていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年3月の研究会で確認された問題設定をふまえて研究計画に記した担当領域について三人それぞれが研究を深めていく予定である。 小田川は、「政治思想における知性と教養」という統一テーマで開催される5月25日(土)と26日(日)の政治思想学会2019年度研究大会を中心となって企画している。研究課題の問題設定に基づいて、マシュー・アーノルドやJ・S・をミルを中心に19世紀イギリスの思想家が展開した教養論と一般教育論についても、政治思想史研究の観点も視野に入れて研究を深める予定である。 崎山は、平成30年度に引き続いて、19世紀半ばにアイルランドで新設された大学をめぐる議論について研究調査を行い、J・H・ニューマンやその他の人々が展開した教養論と大学教育論について研究をすすめる予定である。ここでは、19世紀の連合王国が志向していたメリトクラシーに対する批判というコンテクストと、現代の日本の大学が抱えている問題というコンテクストを比較参照しつつ考慮に入れることで研究を深めていく予定である。 藤田は、研究課題の問題設定をふまえて、科学論との関連からT・H・ハクスリーの一般教育論について分析を深める予定である。今年度は、特に、大学教育論についてハクスリーの科学論と教育論との関連を含めて考察を深める予定である。また、年度後半からは一定期間イギリスに滞在して研究調査も行う予定となっている。
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Causes of Carryover |
藤田がJ・S・ミルに関する研究書を購入予定であったが、残額が予定価格を下回ったために、翌年度分の助成金と併せて購入する予定となった。
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