2020 Fiscal Year Annual Research Report
Culture and General Education in Nineteenth-Century Britain
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18K00102
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Research Institution | Kushiro Public University of Economics |
Principal Investigator |
藤田 祐 釧路公立大学, 経済学部, 准教授 (90710830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崎山 直樹 千葉大学, 国際教養学部, 准教授 (10513088)
小田川 大典 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (60284056)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 教養 / 一般教育 / 大学 / アイルランド / ハクスリー / イギリス思想史 / 国民 / 政治思想 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度前半は、代表者が引き続きイギリスで在外研究に従事していたため、研究課題についての情報や問題意識を電子メールやSNSで共有しつつ、代表者と分担者がそれぞれ研究をすすめた。最終年度に当たるため、オンラインで開催された第45回社会思想史学会大会でセッション(『19世紀イギリスにおける教養と一般教育の思想』2020年10月24日)を行い、同じくオンラインで開催された日本イギリス哲学会第45回研究大会でもセッション(『ヴィクトリア期における教養と一般教育の思想』2021年3月20日)を行った。 後者のセッションでは、まず小田川が「作法から教養へ」という研究報告を行い、18世紀啓蒙における「洗練」という「作法」からフランス革命を経て19世紀に新しく「教養」という理念が成立する過程の思想史を探究した。次に、崎山が「国民教育と地方大学」というタイトルで「トマス・ワイズのアイルランド教育改革論」について研究報告を行った。19世紀前半のアイルランドでは、カトリックを包摂した国民の統合を教育によって推進するというプロジェクトがカトリックのトマス・ワイズによって主導され、クイーンズ大学という高等教育機関の創設というかたちで結実した。崎山報告では、地方大学における国民教育のカリキュラムを当時のアイルランドが置かれた状況という文脈で考察した。最後に、藤田が「T・H・ハクスリーの科学論と教育論」という研究報告を行い、T・H・ハクスリーの教育論を、科学論と自然論との関係、そして当時のイギリスが置かれた状況という観点から考察した。自然現象を探究する自然科学をモデルに自らの教養教育論を展開したハクスリーが、晩年になると教養教育論の基盤であった自然観を捨て去り、帝国主義諸国間の競争に生き残るために産業振興につながる技術教育の必要性を強調するようになる文脈を明らかにした。
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Research Products
(7 results)