• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2019 Fiscal Year Research-status Report

欧米優生学説の成立の背景と日本社会への輸入の際の取捨選択に関する研究

Research Project

Project/Area Number 18K00106
Research InstitutionFukushima Medical University

Principal Investigator

本多 創史  福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40528361)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2022-03-31
Keywords優生学 / 遺伝学 / 比較思想 / 近代日本
Outline of Annual Research Achievements

イギリスの優生学とくにゴルトンの優生学の特徴について文献を用いて検討した。また、ドイツの優生学とくにシャルマイヤーとプレッツのそれの特質を文献を用いて明らかにした。
それらを、近代日本の最初の体系的な優生学の紹介書、海野幸徳の『訂正増補改版 日本人種改造論』(明治43年)と比較した。
その結果、海野は、積極的優生学の方法について情報を得ていたが、自説には取り込まなかったことがわかった。消極的優生学の方法については、たとえばシャルマイヤーの結婚時の健康証明の発行もしくは交換というアイデアを退けていることがわかった。また、プレッツは「虚弱者」がこれ以上生まれてこないよう、生殖細胞の淘汰をおこなうべきであると提案していたものの、生殖細胞の淘汰とは実際にはどのような手術のことであるのか、あるいは手術以外の方法であるのか、曖昧である。海野幸徳はプレッツのテクストを読んでいたので、曖昧な表記になっていることを知っていたはずである。だが海野は、自分なりの解釈を施した。つまり、他から情報を手に入れ、去勢手術は身体にかかる負荷が大きく不可とし、断種手術は、許容されると断定したのである。
これらのことから、19世紀末から20世紀初頭の西欧の優生学者たちの議論は、そのまま日本に輸入されたわけではなく、その一部が取捨選択されて輸入されたことが明らかになった。
海野幸徳は、ダーウィンやヘッケル等の自然科学者の議論に心酔し、自然科学の知見に基づいた政治的な提言をおこなった。そこで、自然科学の知見を基に政治論・社会論を展開した者が他に存在していないかどうか確認するため、国会図書館・東京大学付属医学図書館・一橋大学付属図書館などに複数回、出張した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

第一に、海野幸徳のテクストを取り上げ、比較思想の視座から検討し、3つの論文を書くことができたこと。
第二に、自然科学の知見に基づいた政治論・社会論を展開した人物のテクストを、概ね収集することができたこと。

Strategy for Future Research Activity

1920年代以降の優生運動の文献学的研究
優生学批判をおこなった医学者の文献学的研究

Causes of Carryover

新型コロナウィルス感染症拡大のため、国立国会図書館・東京大学付属医学図書館・一橋大学付属図書館等に出張することができなくなったため。

  • Research Products

    (3 results)

All 2019

All Journal Article (2 results) Funded Workshop (1 results)

  • [Journal Article] 自然科学主義―優生学と日本の近代―2019

    • Author(s)
      本多創史
    • Journal Title

      人文学研究の知的基盤省察と東アジア学―近代学問と知識人―

      Volume: 1 Pages: 124-131

  • [Journal Article] ワイズマン遺伝学説と断種手術―海野幸徳の選択―(上)2019

    • Author(s)
      本多創史
    • Journal Title

      生物学史研究

      Volume: 99 Pages: 1-9

  • [Funded Workshop] 一橋大学大学院言語社会研究科韓国学研究センター・延世大学校近代韓国学研究所HK事業団 第一回国際シンポジウム2019

URL: 

Published: 2021-01-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi