2020 Fiscal Year Research-status Report
美術批評家ヴァルデマール・ジョルジュの批評における「伝統」概念形成に関する研究
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18K00122
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
飛嶋 隆信 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60302915)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 美術批評 / 両大戦間期 / フランス / イタリア / ドイツ / 近代美術 / 古典 / 伝統 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主目的であるヴァルデマール・ジョルジュの批評に関して、また同時代のフランスにおける美術批評の動向に関して、フランス(パリ)およびイタリア(ローマ、イタリア)、更にはオーストリア(ウィーン)の図書館等で調査を行う予定であったが、前年度の実施状況報告書でも言及した通り、2020年度初頭から顕著になった新型コロナウィルスの感染拡大状況が、当初の期待通りには改善せず、上記の諸国においても日本からの渡航を禁止、あるいは一定期間の隔離処置を継続して行ったこともあり、現地の調査活動を行うことが全くできなかった。そのため、所属先の東京農工大学図書館を通じて、入手可能な関連書籍を購入し、可能な範囲で研究対象に関する知見を広げる作業を続けた。 なお、2019年までの調査活動をもとに、論文「両大戦間期のフランス芸術における「伝統」と「危機」―ヴァルデマール・ジョルジュの批評の変遷」(松井裕美・木俣元一編『古典主義再考Ⅱ 前衛芸術と「古典」』中央公論美術出版、2021年1月、237-283頁)を執筆・刊行した。 また、同論文の内容に関連し、青山大学の池野絢子氏主宰のオンライン研究会「20世紀イタリアの芸術と文化」(2020年12月26日14時~17時実施)にて(「両大戦間期の美術界における伊仏関係―ヴァルデマール・ジョルジュの周囲で」を発表した。また、日仏美術学会主催のオンラインワークショップ「1930年周辺のポストモダンとネオ・ユマニスムの文芸史観」(2021年2月20日13時~16時10分)において、本研究の対象に含まれている美術批評家ヴァルデマール・ジョルジュおよび美術史家ルネ・ユイグに関わる研究発表について、コメンテイターとしてディスカッションに参加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」でも述べたように、コロナウィルス感染拡大状況の改善が世界的に滞っているため、予定していた海外での調査活動を依然として行えずにいる状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
日本よりもワクチン接種が進んでいるフランス、イタリア、オーストリアでの活動制限が緩和された暁には集中的に調査活動を行う予定だが、困難な状況が続きそうな見込みの場合では、海外から直接購入する図書(特に貴重な古書)を増やすことによって、現地での資料収集作業をある程度補完することを検討している。
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Causes of Carryover |
2020年初頭から顕著となった、新型コロナウイルス感染拡大により、当初予定していたフランス、イタリア、オーストリアの図書館における資料収集作業が行えなかったことが原因である。2022年3月末までに、コロナ感染拡大状況に大きな改善が見られた場合、特に上記の国々への渡航制限および現地での活動制限が解除された暁には、集中的に調査を行う予定である。ただ、海外渡航に依然として難しい状況が継続した場合には、現地から(古書を含めた)図書の購入を早めに進めて研究資料を補完することを検討している。
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Research Products
(2 results)