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2018 Fiscal Year Research-status Report

日本の芸能「能」の演奏技法の伝承過程に関する歴史的研究‐能管を中心に‐

Research Project

Project/Area Number 18K00150
Research InstitutionKyoto University of Art and Design

Principal Investigator

森田 都紀  京都造形芸術大学, 芸術学部, 准教授 (10572258)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords音楽学 / 能 / 能管 / 演奏技法 / 唱歌
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、「能」という芸能で用いる「能管」という横笛の演奏技法の形成と伝承の歴史的過程を、現存する古楽譜の所蔵調査・網羅的収集・丹念な分析と解読を通して明らかにしようとするものである。
今年度は、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館と早稲田大学中央図書館を中心に史料調査を進めた。そして、一噌流宗家伝来の史料として、『貞享三年符』、『順勝院噌善手記』、『能学(ママ)秘伝書』などをはじめとする重要な史料の存在を確認した。
『貞享三年符』は能一曲ごとの笛の手を記した頭付譜で、享保三年の奥書を持ち江戸初期の四世一噌六郎左衛門の手によると推定される。常用演目から稀曲までが網羅的にまとめられており、流儀の初期段階の、いまだ流動的であった演奏技法を窺うことができる頭付譜と考えられた。一方、『順勝院噌善手記』は『能学秘伝書』と併せて一冊だった史料で、享保十六年六世一噌又六郎の奥書を持ち、全文が「多吉」とされる人物へ相伝した内容を持つ。演奏の心得や、〈翁〉〈高砂〉の頭付譜を記しており、流儀の演奏技法の大筋が確立した江戸中期の実態が具体的に窺える史料と位置づけられた。
以上の主に三点は、流儀の演奏技法が形成されてから確立するまでの時期に編まれたもので、演奏技法の形成と伝承の過程を具体的に知ることのできる重要な史料と判断し、翻刻作業を進めた。この作業は分析に向けての土台をつくる基礎研究であるが、今年度はそこに終始してしまったので、今後の研究に活かしていきたい。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

一噌流宗家伝来の史料として、江戸時代初期から中期にかけての宗家の手による重要な伝書と頭付譜を数点確認できたことは収穫であった。しかし、①各史料の翻刻作業に時間を要したこと、②頭付譜は演奏家の備忘録であるため、記述内容に差異があり、それぞれの史料の性質を読み解くのに時間を要する、などの研究上の制約があり、今年度は史料調査と翻刻という基礎研究に終始し、収集した史料を具体的に読み解いて、研究成果を口頭発表や論文の形などにまとめられなかった。そのため、進捗状況は「やや遅れている」としたい。

Strategy for Future Research Activity

引き続き、史料調査を進めるとともに、『貞享三年符』『順勝院噌善手記』『能学(ママ)秘伝書』などの重要な史料の翻刻を完了させる。併せて、新たに調査・収集した史料の翻刻作業も行う。
翻刻を終えた史料は、具体的に内容を解析する。その際、必要に応じて専門能楽師の協力を仰ぎ、様々な解釈の可能性を追求したい。

Causes of Carryover

調査の優先度により、遠方での史料調査を行わなかったため、当初予定していたより旅費が不要となった。今年度は史料調査を拡大し、旅費ならびに史料の複写製本費として使う予定である。

URL: 

Published: 2019-12-27  

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