2020 Fiscal Year Research-status Report
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18K00153
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Research Institution | Osaka College of Music |
Principal Investigator |
西村 理 大阪音楽大学, 音楽学部, 教授 (00552738)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大阪放送局(JOBK) / レオ・シロタ / アレクサンダー・モギレフスキー / マキシム・シャピロ / 奥屋熊郎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、大阪放送局(JOBK)の文芸課長であった奥屋熊郎(1894-1964)が考案した番組である「系統的定期演奏」を軸に研究を行った。1930年3月から1934年5月まで制作されたこの番組に関する新聞や雑誌の記事の収集に加え、出演した演奏家がラジオ放送以外での活動も調査した。その結果は以下である。
1、『番組確定表』からこの番組は、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲演奏、「ヴァイオリン名曲定期演奏」「ピアノ三重奏定期演奏」「ピアノ解釈講座」「ヴァイオリン・ピアノ二重奏名曲定期演奏」「協奏曲定期演奏」といった西洋音楽に加え、「正統謡曲定期演奏」「長唄名曲定期演奏」といった日本音楽も行われていたことが分かった。 2、「系統的定期演奏」のなかでも西洋音楽に限定して、この番組に関する新聞や雑誌の記事の収集を行い、当時、この番組で放送された曲について、どのような情報が聴き手に伝えられたのかが明らかになった。なお、新聞各紙での曲目の解説の内容はほぼ同じであり、放送局側が提供したものと考えられる。新聞各紙の独自性は、番組に対する見出しの付け方にあった。 3、この番組に出演した演奏家のなかで、レオ・シロタ、アレクサンダー・モギレフスキー、マキシム・シャピロが軸となっていた。とりわけモギレフスキーが演奏した曲には、19世紀末から20世紀初頭にかけてのロシアを中心とした作曲家によるものであり、その曲のなかには演奏会で日本初演した作品も含まれていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の拡大により、学内業務および遠隔授業の導入による準備時間の大幅な増加により、研究のための時間を減らさざるを得なかったため。それに加えて、研究の資料収集のために利用が不可欠である国会図書館が、新型コロナウィルス感染症の拡大にともない、利用日を抽選によって決めることになり、夏期休暇中などにまとまった日程で資料を集めることができなくなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に継続して、「系統的定期演奏」に出演した演奏家のラジオ放送以外での活動を調査すると同時に、また奥屋が考案した音楽に関連する番組の新聞記事や雑誌の記事を調査する。そして、それらの成果を論文として発表する。
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Causes of Carryover |
理由:研究の資料収集のために利用が不可欠である国会図書館が、新型コロナウィルス感染症の拡大により、利用日を抽選によって決めることになり、夏期休暇中などに計画的に資料を収集をすることができなくなった。その結果として旅費の使用額が減ったため。
使用計画:昨年度、実施できなかった調査のための旅費および物品費にあてる。
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