2018 Fiscal Year Research-status Report
16世紀フランス・ルネサンスのフォンテーヌブロー派によるタピスリー研究
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18K00184
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
小林 亜起子 東京藝術大学, 美術学部, 講師 (00618275)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | フォンテーヌブロー派 / フランソワ1世 / タピスリー / ロッソ / プリマティッチョ / フランソワ1世のギャラリー / 装飾芸術 / フランス・ルネサンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、フランス・ルネサンスの父と称される国王フランソワ1世によって設立された工房と、そこで製織されたフォンテーヌブロー派の画家たちの下絵にもとづくタピスリーについて明らかにすることにある。フォンテーヌブロー宮殿内にタピスリー工房が創設されたのは1537年頃である。工房は王立建築物局総監の指揮下に運営され、16世紀の第三四半期までのあいだに、ロッソやプリマティッチョを はじめとするフォンテーヌブロー派の画家の作品にもとづく作品が制作された。 平成30年度は、まずは本研究のための基礎作業を実施した。具体的には、フランソワ1世のタピスリー工房の実態に関する資料・画像収集とデータの整理とともに、同工房で織られたフォンテーヌブロー派の下絵にもとづくタピスリーの基本的な情報をまとめることである。この作業によって、フランソワ1世が設立した工房の運営状況、それを統括した王立建築 物局総監の役割および、下絵を提供した画家たちとの共同関係解明するとともに、工房の組織と経営体制について精査することができた。 これらの調査研究を遂行するなかで、とりわけパリの装飾芸術美術館およびルーヴル美術館での現地調査を通じて、新たな知見をえることができた。その成果の一部は論文としてまとめられた。そこでは、フォンテーヌブロー宮殿の工房で最初に織られることになった、ロッソとプリマティッチョにもとづくタピスリー連作〈フランソワ1世のギャラリー〉について論じられたが、本論考で示された見解は、平成31年度の研究の基盤となるものして位置づけられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象作品に関する基礎作業、作品の実見にもとづく調査および資料収集はおおむね予定通りに進行しており、新知見にもとづいた論文も公刊している。またフランス・ルネサンスにはじまる近世フランスのタピスリーについて口頭による発表も行った。さらに平成30年度は、海外調査を実施することによって、本研究の進展に寄与する有益な資料を入手することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度の調査・研究方法について、変更の予定はない。初年度と同じく論文の執筆も継続して行う。また本年度は、初年度の海外調査では赴くことのできなかった作品所蔵先での現地調査を実施できるよう努めたい。また現地の学芸員や研究者と連絡を取りあい、作品に関する情報交換も積極的に行っていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主たる理由としては、平成30年度末に実施した海外出張中にまとまったかたちで現地にて購入を予定していた研究書が、予定通り入手できなかったことが挙げられる。書店での一時的な在庫切れ、刊行予定とされていた書籍が未刊であったことなどが、計画通りに使用できなかった要因である。したがって、平成30年度の図書購入予定が実現できなかったことによって生じた次年度使用額分については、もともと現地購入を予定していた図書の購入費にあてることにしたい。
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Research Products
(3 results)