2018 Fiscal Year Research-status Report
A Study of the Relationship between Artistic Activity and Activism for LGBT Human Rights in Japanese Society
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18K00225
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Research Institution | Kyoto Seika University |
Principal Investigator |
山田 創平 京都精華大学, 人文学部, 准教授 (30554315)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | LGBT / セクシュアル・マイノリティ / 人権 / アートと社会 / 社会包摂 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「アートによる社会的包摂」の可能性、とりわけ性的少数者(LGBT)と芸術 /アートとの関連について考察する。本研究では「LGBTの社会包摂とアートの関係」について特にアジア(台湾やタイ、インドネシアなど)と欧米各国の事例を詳細に比較検討することで調査を進める。調査は主にインタビューと資料収集によって為されるが、まずこれによって当該研究テーマに関する基礎データが集積され、データベースが構築される(研究期間内に明らかになる点・その1)。さらに日本ではLGBT当事者のアーティストやアート関係者に取材し、日本社会での活動の困難さや問題点を明らかにする。それによって日本社会における「LGBTの社会包摂とアートの関係」に関する課題と展望が明らかになる(研究期間内に明らかになる点・その2)。 本研究の学術的、核心的「問い」は、「欧米では可能な芸術/アートによるLGBTの人権課題の社会包摂が、なぜ日本社会では難しいのか」というものである。それらを問うために、まずは日本国内には全く先行研究の存在しない当該研究領域の情報収集からはじめる必要があった。 2018年度はアメリカ合衆国ニューヨーク市において、ニューヨーク近代美術館を視察し、ニューヨーク公立図書館のリンカーンセンター分室では事前申請の上、未公開の映像資料を調査した。またエイズメモリアルパークやニューヨークのセクシュアルマイノリティが多く生活するエリアであるクリストファーストリートにおいてフィールドワークを行った他、国連関係者にも取材を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の重要なポイントは、いわゆる地域型アートプロジェクトや、社会包摂型アートプロジェクトにおいて、それを美術やアート批評の文脈からとらえるのみならず、被差別の当事者や、実際に地域で声を上げることが難しいマイノリティの声を、アートがいかに聞きうるのかという点から考える点にあると考えている。 その意味で本年、アメリカ合衆国ニューヨーク市で実施したフィールドワークは、より細かく、実際の社会問題にコミットするNGOや民間団体にアクセスすることができたという点で有意義であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、とくにセクシュアルマイノリティの人権擁護の観点でその進展が目覚ましい台湾で詳細なフィールドワークを実施する予定である。台湾では同性結婚が法制化されたが、アートの文脈においても、台北ビエンナーレなど国際的に先進的なアートプロジェクトが相次いでいる。 本年度は台湾のセクシュアルマイノリティ支援NGOの取材と、台湾全土で繰り広げられる様々なアートプロジェクトの取材を行い、当該課題に関する知見を深める予定である。
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Research Products
(1 results)