2020 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of the Relationship between Artistic Activity and Activism for LGBT Human Rights in Japanese Society
Project/Area Number |
18K00225
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Research Institution | Kyoto Seika University |
Principal Investigator |
山田 創平 京都精華大学, 人文学部, 准教授 (30554315)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アートと社会 / 表現倫理 / マイノリティ / LGBTQ |
Outline of Annual Research Achievements |
私はこれまでの自らの研究活動(HIV/AIDS対策やセクシュアルマイノリティの権利、ジェンダー平等)の中で、社会的に排除されている人々が、常に芸術や表現と共に存在してきたという事実に気づかされた。そしてそのような場における芸術や表現には、命を削るような切実さがあり、その表現の鋭さは、他の商業的な諸表現とは比較にならないような深度を持つと感じる。例えば晩年のキース・へリングの絵画や立体作品、ロバート・メープルソープの写真表現などがそれである。私はそれらの作品に接し、また国内外の様々な事例を知る中で、マイノリティの権利運動や社会包摂的実践と、芸術やアート、特に現代美術の諸実践が、社会的にほぼ同範型であると考えるようになった。社会の「中心」と「周縁」という排除の構造の中にあって、そのどちらの実践もが、同心円構造をくぐりぬけ、周縁にあるものが突如中心において出現したり、またその逆であったりといったように脱構造的、自壊的実践となっていると考えた。近年、「芸術と社会」「芸術と地域コミュニティ」との関係を問う試みが増えつつある。これからの社会における社会的包摂やコミュニティ形成を考える際にも芸術は重要な切り口となると考えられる。当該研究課題ではそれらの問題意識をさらに深めることが目指された。研究の結果、大学をはじめとした研究機関における教育内容の問題、そもそもの芸術の現場でのジェンダー平等の意識の低さ、またマイノリティにかかわるNGOなど他セクターとの連携などの点において、海外の状況とはギャップがあることが明らかとなった。今後の日本のアート界における問題点が示されたものと考えている。
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Research Products
(1 results)