2020 Fiscal Year Research-status Report
How to make public buildings where local residents have attachment Clarification of the phenomenological space theory of Tomoya Masuda and Toyokazu Watanabe
Project/Area Number |
18K00230
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
長岡 大樹 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 助教 (20456403)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 渡辺豊和 / 増田友也 / 公共建築 / 共同幻想 |
Outline of Annual Research Achievements |
建築家の渡辺豊和(1938ー )と増田友也(1914ー81)が設計した公共建築を対象に、地域住民が愛着をもつ公共建築のつくり方(建築空間の創出法)について調査・研究を実施した。特に当該年度は渡辺豊和が実践し成功を収めた建築空間の創出法の一端を明らかにした。 分析した公共建築は、ウッディパル余呉・対馬豊玉町文化の郷・加茂町文化ホール・上湧別町郷土資料館・秋田市体育館・黒滝村森のこもれびホール・角館町立西長野小学校である。渡辺は公共建築が立地する地域の「伝説・神話・昔話」を読み解き、その内容を地域住民に問いかけ、その地域に合った建築空間を導出する。その実践的方法の具体的内容を明らかにした。その方法の中心概念は「共同幻想」含め5つほどあることが判明した。 あわせて増田友也の現象学的空間論、特に『Ethnosの風景』について考察した。建築空間を人間意識の問題として捉え、人間にとっての「Ethnos(故郷・原郷)」イメージについて考察した。総じて増田の思想を深層心理学の観点から編み直した。また徳島県鳴門市に現存する公共建築(特に鳴門市民会館と鳴門市庁舎)について考察した。鳴門市民会館・市庁舎はいずれも当該年度には老朽化に伴う取り壊しが決まっており、消えゆく建物に対する地域住民の愛着意識とその心理的構造について考察した。その研究成果は、鳴門市市民会館アーカイブ展(会場:鳴門市民会館、期間2020年10月21日~11月3日)において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた現地での聞取り調査を十分行えず、その結果、進捗状況はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
現地での聞取り調査が十分行えない場合、電話取材等で代替対応する。また2021年度は、渡辺豊和が考案した「地域住民が愛着をもつ公共建築のつくり方」を誰もが使いこなせるよう一般化・普遍化する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた現地での聞取り調査が実施できなかった。その分を次年度に実施・使用する。
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Research Products
(1 results)