2021 Fiscal Year Research-status Report
日本統治下の台湾における歌舞伎・浄瑠璃史の構築―現地資料に基づく基礎研究と考察―
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18K00234
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中尾 薫 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (30546247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日置 貴之 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 専任准教授 (70733327)
王 冬蘭 帝塚山大学, 経済経営学部, 客員研究員 (80319920)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 台湾 / 演劇 / 歌舞伎 / 浄瑠璃 / 義太夫 / 劇場 / 興行 / 植民地 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本統治下台湾で興行された歌舞伎・浄瑠璃を中心に、その実態を明らかにし、これまでほとんど言及されてこなかった植民地下での歌舞伎・浄瑠璃史を構築することである。『台湾日日新報』を主な手がかりとして、台湾で興行をした演者・演目・興行場所・興行主・興行期間等を明らかにし、日本 (「内地」)でどのような活動をしていた役者なのか、日本における興行との連関はどのようにあるのかを分析することで、これまで言及されてこなかった植民地下での歌舞伎・浄瑠璃史を構築する。2021年度より能楽の実態も検討に加えている。2021年度は、オンラインで4回計画会議を開催し、成果報告の方法や研究計画について整理をした。また、ゲスト講師によるオンライン研究会を4回開催した。研究会では、研究者だけでなく、映像制作者など現場の方など、のべ100名程の参加者を得、研究の発信と意見交換の好機となった。また、邱坤良專欄:如果能劇舞台像串燒居酒屋が、台湾の『風伝媒』に分担者の王冬蘭の研究成果について紹介するなど、海外からの注目もあった。 https://www.storm.mg/article/3620567?page=1 ほかに科研メンバーの成果としては、分担者の日置貴之は昨年度に引き続き、『台湾日日新報』に掲載の「臺北役者評判記」の分析を重ね、「明治三十六年「台湾役者評判記」(一)」(『明治大学教養論集』557号、pp.59-79、2021年9月30日)、「明治三十六年「台湾役者評判記」(二)」(『明治大学教養論集』560号、pp.223-249、2021年12月31日)を発表した。研究協力者の川下俊文は「上山草人・近代劇協会の大正3年台湾巡業をめぐって」を口頭発表し、近代劇協会の台湾興行の顛末を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度も新型コロナウィルス感染拡大防止の影響により台湾現地調査を断念したが、「漢珍電子商城」https://tbmcxb.tbmc.com.tw/の電子資料庫の購入によって現地でしか閲覧できなかった資料を閲覧できるようになった。また、オンラインを使用して研究会や会議を開催することで、研究の深化につとめることができた。研究会で発表いただいたのは、以下の4名と題目である。岩澤侑生子氏(俳優、台湾淡江大学日本語文学学科修士課程)「日本統治期台湾演劇をめぐって」(2021年6月19日)、薗田郁「日本統治下の台湾における大衆演芸の興行」(2021年8月31日)、李思漢「日本統治下台湾における義太夫節について」(2021年9月17日)、川下俊文「上山草人・近代劇協会の大正3年台湾巡業をめぐって」(2021年11月4日)。以上の4回を開始し、国内外からのべ100名ほどの参加者を得て、活発な意見交換が行われた。現在はそれらの成果を踏まえて、研究成果の発表の方法を模索している。具体的には、研究会で交流を得た研究者たちの協力も得て、論文集を作成をできないか検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進法策としては、引き続きオンラインを駆使した研究会、電子資料を中心として調査を活用する。本研究と類似する研究グループや研究代表の情報も得ており、それらの研究成果との重複を避けつつ、交流についても模索していきたいと考えている。また、論文集の作成についてはすみやかに実現に向けて検討を重ねていく。
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Causes of Carryover |
海外(台湾)での現地調査が出来ず、旅費として使用できなかった。今年度は、オンラインで利用できる有料のコンテンツを購入するなどして、研究が止まらないように留意する予定である。
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Research Products
(3 results)