2021 Fiscal Year Research-status Report
文学フリマ参加雑誌アーカイブ化による現代文芸同人誌研究基盤の構築と公開を目指して
Project/Area Number |
18K00241
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
谷村 順一 日本大学, 芸術学部, 准教授 (40552576)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 永貴 筑波大学, 図書館情報メディア系, 助教 (10592868)
常川 真央 中央大学, 文学部, 助教 (20592869)
岡野 裕行 皇學館大学, 文学部, 准教授 (30531280)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 文芸同人雑誌 / 同人雑誌 / 同人誌 / デジタルアーカイブ / データベース / 文学フリマ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では既存の作家研究において、これまで文学的資料として充分な活用が行われてきたとは言いがたい同人雑誌について、日本大学芸術学部文芸学科に寄贈された『文学フリマ』見本誌を用いて、主に以下の項目についての検討ならびにデジタル化、データベース構築を行う。 ①多様性溢れる同人誌のデータベース化をその検索項目等を含め、どのように行うかについての検討 ②書誌データだけではなく装丁を含めた意匠のデジタル化 ③保存や閲覧方法、といった点について関係者へのヒアリングなどを含めて検討および600冊程度の同人誌検索システムのプロトタイプの構築 以上の作業をふまえ、文学研究資料の基礎資料として同人誌を有効活用するための網羅的な検索システム構築への足がかりにするとともに、同時に発行地、同人数、掲載作品のジャンルの精査などによって同人誌の発行動向といった同人誌の基礎的研究を行うことを目的としている。2021年度はひきつづき、昨年度、雑誌記事索引集成データベース「ざっさくプラス」を運営している株式会社皓星社に入力作業を委託した書誌データ、表紙を含めた資料の全頁のスキャニングデータをもとに、研究分担者と資料の調査、および研究資料としての同人雑誌の現状について、対面、オンラインにて情報共有をし、デジタルアーカイブ構築に必要なデータ項目などについて、奥付や目次の有無、造本方法など、同人雑誌文化と一般的な書籍との相違点などについて精査、デジタルアーカイブ化に向けた具体的方法についての検討を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前述の通り、本研究では同人雑誌の特性を反映したデジタルアーカイブ構築を目的のひとつとしているが、調査対象となる資料の書誌データ入力作業を行った結果、以下の通り判明した。 ①一般的な書籍が持つ奥付、目次など、書誌データの採取に必要なデータが未掲載のものが多数存在する ②製本方法、判型などが当初想定よりも多種多様である これらは同人雑誌がいわゆる書籍制作の専門家の手による編集、制作過程を経ていないことが原因であると同時に、まさに同人雑誌固有の特性、特長であり、本 研究が目指す同人雑誌に特化したデータベース、デジタルアーカイブ構築において、検索項目の設定方法についてさらなる検討、考察を行う必要性を研究分担者と共有し、当初予定以上の時間をかけ再検討を行っているためである。
|
Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」・「現在までの進捗状況」でも述べたが、資料である同人雑誌の整理・調査をすすめ、デジタルアーカイブ構築を最優先事項として、以下の通り作業を進めていく予定である。 ①文学フリマ事務局の協力のもと、デジタルアーカイブ化の検索方法、目的などについて、WEB上で文学フリマ出店者や来場者など、同人雑誌関係者に広くアン ケートを行う ②デジタルアーカイブ化において、既存の文学フリマWEBカタログとの連携方法について検討を行う ③入力した書誌データをもとにデータベースのプロトタイプの構築を行う
|
Causes of Carryover |
2021(令和3)年度は2020年(令和2)年度に入力作業を行った書誌データ、および表紙、本文のスキャニングデータを精査の上、文芸同人雑誌に特化した検索用データベース構築と公開を行うため、検索データベース構築作業およびデータ公開についての実作業を外部業者に約110万円で委託する予定であった。しかしCOVID-19のパンデミックが終息の兆しを見せず、データベース構築、公開作業にあたって共同研究者との情報共有を行う時間を充分に確保できないなど、研究活動を行うのが非常に困難だったため、外部業者への委託を見送ることとした。またこれに伴い研究期間を延長することとなり、研究結果をまとめた印刷物の作成なども行えなかったことから、前述したデータベース構築・公開費用、印刷費などが次年度(2022年度)に持ち越しとなった。なお2022年度は前述したデータベース構築・公開作業の外部委託に加え、今回の研究で得られた知見をまとめ、海外ジャーナル(査読あり)への投稿、および『季刊文科』などで発表を行う予定で、残額はこれらにかかる費用に使用する。
|