2022 Fiscal Year Annual Research Report
Evolution of Ibn al-Haytham's View on Ptolemy
Project/Area Number |
18K00260
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三村 太郎 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (50782132)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イブン・ハイサム / プトレマイオス / ハイアの学 / イスラーム天文学史 |
Outline of Annual Research Achievements |
近代科学の源流ともいうべきコペルニクス地動説成立にイスラーム天文学の一分野「ハイアの学(宇宙構造学)」が大きな影響を与えたことが最近指摘されている。「ハイアの学」とはプトレマイオス惑星モデルを立体化し、立体的な宇宙像を探求するもので、イブン・ハイサム『世界の構造について』がプトレマイオス惑星モデルを忠実に用いてそれを立体化することでその第一歩を踏み出した。他方、イブン・ハイサムは『プトレマイオスへの疑問』においてプトレマイオス惑星モデルに含まれる矛盾を多数指摘することで厳しくプトレマイオスを批判している。すなわち『プトレマイオスへの疑問』にみられる彼のプトレマイオスに対する態度は『世界の構造について』での態度と全く異なることになる。なぜ彼のプトレマイオス観は劇的に変化したのだろうか。本研究ではイブン・ハイサムの『アルマゲスト』注釈の本文校訂と英訳に取り組み、それをふまえて本注釈書でのプトレマイオス観と彼のそれ以外の著作でのプトレマイオス観とを比較することで、そのプトレマイオス観の変遷をたどり、彼のプトレマイオスへの態度の劇的な変化の背景を探る。最終年度はここ数年をかけて進めてきた彼の注釈書全文をの内容を分析し、注釈書でのプトレマイオス観とそれ以外の著作でのプトレマイオス観とを比較し、彼のプトレマイオス観の変遷をたどり、冒頭の問いである「イブン・ハイサムのプトレマイオス観はなぜ劇的に変化したのか」の解明を行った。
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Research Products
(3 results)