2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K00277
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
吉丸 雄哉 三重大学, 人文学部, 教授 (10581514)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 忍者 / 忍び / 軍記 / 近世小説 |
Outline of Annual Research Achievements |
本科学研究費助成事業の本年度の成果として、前年度に引き続き基礎資料の整備である「忍者関連主要作品年表(江戸時代)」の増補を行った。研究代表者は浮世草子や読本といった近世小説に記される忍びの活動について調査を行った。近世小説に関する調査は以前行ったが、見落としも多く有益だった。これらの調査内容は2020年度も引き続き増補につとめ、最終結果は2020年度に三重大学人文学部のホームページで公開するほか、研究をまとめた出版物に掲載する予定である。前年度に作成した沖森文庫本『忍秘伝』に関しては東北大学狩野文庫本『忍秘伝』(国書刊行会)が発行されたために公開を見送った。解題と論考を付して2021年度の「忍者研究」4号誌で公開の予定である。 三重大学の大学院生と協力して、2019年の忍者作品および研究書籍リストを作成した。国際忍者学会の「忍者研究」3号に掲載が決定している。 忍者像の形成と変遷に関しては、講演会ながら第105回全国図書館大会三重大会(11月29日、三重県文化会館中ホール)において「忍者研究の最前線から地域と図書館を考える」の題で、最新研究成果に基づいた知見を発表した。 大会記録誌に講演録が収録されている(19~44頁)。 また第二回国際忍者研究会(12月21日、於立正大学品川キャンパス)で「創作における忍者の技芸伝達」の題で近世から現代にいたるまで創作において忍術がどのように伝達されているか、それより忍者と忍術がどのように把握されていたか発表した。2020年3月14日に講演会「石川五右衛門について知っておくべきいくつかのこと」で石川五右衛門について研究成果を話すつもりだったが、新型コロナウイルス予防のため発表は延期となった。本年度の研究成果は2020年度の研究成果とあわせて『忍者の文学史』としてKADOKAWA/角川学芸出版より公開の予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は2月まではおおむね順調に進んでいた。近代以降の忍者作品を調べる余裕もあった。3月以降は新型コロナウイルス対策のため多くの図書館や博物館が閉鎖されて研究がうまく進められなくなっている。研究の基礎にあたる作品年表などはおおむねうまく進んでいるが細かい追加、修正は今後難しくなるかもしれない。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度に行った近世軍記やその他の近世小説および忍術書の調査は継続するものの、2020年度は最終年度につき研究のまとめに入りたい。研究成果の発表は単行本での成果発表が見込めるようになったので、それにて行う。忍者作品年表および研究書籍リストなどもそれに含める予定である。出版には当初の研究計画を拡大して近代作品も対象に含める予定である。近世作品の系譜をひくものが多いからである。2020年度は新型コロナウイルスのため調査はやや難しくなったが、忍者像の形成と変遷について文学史の広い射程で論じることができればと考えている。
|
Research Products
(2 results)