2020 Fiscal Year Research-status Report
江戸期の往来物及び番付を中心とすることば遊び文献資料の研究
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18K00278
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
小野 恭靖 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (50194600)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ことば遊び / 往来物 / 番付 / 見立番付 / 瓦版 / おもちゃ絵 / 江戸時代 / 文献資料 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は4年間にわたる研究期間の3年目に当たる重要な年であったが、前年に引き続くコロナ禍のため、出張による調査研究が全く実施できなかった。そんな中、丹念に資料の掘り起こしを行い、古書店から多くの貴重な文献資料を購入し、調査を開始することができた。 具体的には『実語教(茶屋源蔵版)』『実語教 童子教(布袋屋市兵衛版)』『実語教 童子教(山田常助註)』『実語教 童子教證註』『御家即席案文』『文しなん』『大和言葉』『新編二十四孝絵抄』『手紙文言 年始の文』『万民調法 書状早指南』などの往来物やそれをパロディーにした『浮世滑稽附会案文』『諸用附会案文』『道外実語教』などの滑稽本、『なぞかけ』『新板なぞなぞ合』『新板地口 ゑほん東京産物』『常磐津外題考物』『清元外題考物』『判じ絵(仮題)』『附会季撰草紙』『新版附会三才図会 初編』『大新板附会三才図会』『市川團十郎(国安画)』や見立番付の『たのしみ艸紙』『浪花みやげ』などの江戸期ことば遊び資料、『ちんわん唄』『新版加藤清正一代記』『開帳遊講徒呂トロ』『戯画猿回し幽霊』『東海道中雙六・福笑(仮題)』『たこつくし・天神つくし(仮題)』『新板人物いろは形』『悟歌心の礎』『梅百人一首』などの子ども向け遊戯本等を古書店から入手し、調査を開始した。 これらのうち『附会季撰草紙』『新版附会三才図会 初編』『大新板附会三才図会』の三点は特に貴重な文献で、それらの資料を基にして「「附会(こじつけ)」という名のことば遊び―『附会季撰草紙』『新版附会三才図会 初編』『大新板附会三才図会』紹介―」(『日本アジア言語文化研究』第15号<令和3年3月>)という研究論文を執筆することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和元(2019)年の年度末に実施する予定であった東京都(国立国会図書館、国立公文書館、東京大学総合図書館、東京大学史料編纂所、静嘉堂文庫)への文献調査訪問、愛知県(名古屋市蓬左文庫、名古屋市立鶴舞中央図書館、刈谷市立図書館、西尾市立図書館岩瀬文庫)への文献調査訪問という二度の出張予定が新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、実施できなかった。そのため、令和2(2020)年度はそれらの出張に加えて、新たに広島大学附属図書館、島根大学附属図書館、愛媛大学附属図書館、九州大学附属図書館への文献調査訪問を予定していたが、なかなか終息しないコロナ禍のため、それらすべての出張を取りやめなければならず、研究計画を修正しなければならない状況に至っている。 ただし、名古屋市蓬左文庫、名古屋市立鶴舞中央図書館が所蔵する文献資料については、コロナ禍が始まる前の令和元(2019)年の夏に国文学研究資料館を訪問調査した際に、マイクロ資料で閲覧が済んでいる。したがって当該文献については直接の閲覧はできていないものの、文献の中身自体は把握できている。今後、コロナ禍が終息した折には、実際に足を運んで原本を披見し、正確な書誌の確認を行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の最終年度に当たる令和3(2021)年度は方針を転換し、これまで収集してきた古典籍資料をもとに、研究のまとめを行うことに主眼を置く。それと同時に当該研究を進める上で必要となる新たな古典籍資料を古書店等から収集する。 また、可能な範囲で前年度までに実施できなかった機関へ文献資料の閲覧調査に赴くこととする。その際、調査の必要性・緊急性の高いものから順番に優先順位をつけて実施したい。ただし、それらは新型コロナウイルスの収束が前提となるので、不確定の要素が強く、一日も早く研究が再開できることを期待している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、文献資料の閲覧・調査予定であった機関へ訪問ができなかった。そのために旅費を中心に残額が生じた。令和2(2020)年度に実施できなかった機関への文献調査については、令和3(2021)年度に可能な範囲で実施したい。また、令和3(2021)年度支出の多くは当該研究に関連する古典籍資料を収集するために用いることにしたい。
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Research Products
(1 results)