2021 Fiscal Year Research-status Report
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18K00290
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Research Institution | Seisen University. |
Principal Investigator |
佐伯 孝弘 清泉女子大学, 文学部, 教授 (40255956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 和人 関東学院大学, 国際文化学部, 教授 (30613971)
杉本 和寛 東京藝術大学, 音楽学部, 教授 (40282545)
水谷 隆之 立教大学, 文学部, 教授 (60454500)
倉員 正江 (長谷川正江) 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (70307817)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 浮世草子 / 『御前於伽』 / 都の錦 / 『当世信玄記』 / 八文字屋本 / 井原西鶴 / 『新編倭年代皇紀絵章』 / 『西鶴冥土物語』 |
Outline of Annual Research Achievements |
科研費による研究は以下の6項目である。いずれも浮世草子研究の基盤を強化すると共に、研究の活性化や学際化を目指すものである。 (1)作品(『御前於伽』)の注釈作業は、当該作が都の錦作の注目すべき怪異物作品である上に、翻刻・注釈が全く備わっていない状況ゆえ、浮世草子研究会が例会で継続して行っている注釈作業は貴重で、完成が待たれる。現在ようやく全6巻中、巻5迄終了した。(2)「西鶴と浮世草子」研究文献目録Web版作成のための、文献調査(キーワード抽出)作業は、コロナ禍等のため大きく遅れてしまっていたが、再開にむけ体制を整える為、4月以降の例会で相談・再調整を行った。 (3)浮世草子研究会機関誌(学術雑誌)刊行も、研究代表者の佐伯以外の稿は揃っている。 (4)浮世草子と他ジャンルとの関連に関する研究は、メンバー各人が進め、論文として活字化(公表)した。 (5)研究期間最終年度である令和4年度に行う予定の国際シンポジウムは、日本人研究者(本科研費メンバー)と韓国人研究協力者が、日韓両方の立場・視点から、浮世草子というジャンルにつき多角的に考察することを目指すものである。 (6)浮世草子研究の大家長谷川強先生から寄贈を受けた、浮世草子複写物については、浮世草子研究会会員有志で6月から夏休みに掛けて複数回集まり、整理・確認作業を行った。浮世草子という同一ジャンルの複写が211点ほども集積されている同資料は貴重であり、保存・公開に向け鋭意準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
科研費による研究の6つの作業それぞれの進捗状況は以下の通り。 (1)作品(『御前於伽』)の注釈作業は、コロナ禍のため浮世草子研究会例会での同作の精読作業が前期の間は開催できず、後期に3回開催したに留まるため、3章しか進まなかった。 (2)「西鶴と浮世草子」研究文献目録Web版作成のための、文献調査(キーワード抽出)作業も、コロナ禍のため、及び他の作業(下記6)が入ってしまったため、あまり進まなかった。(3)浮世草子研究会機関誌(学術雑誌)刊行も、研究代表者の佐伯の論文作成(入稿)の遅れから、未刊のままである。 一方、(4)浮世草子と他ジャンルとの関連に関する研究は、メンバー各人が進め、論文として活字化(公表)した。(5)研究期間最終年度である2022年度に行う予定の国際シンポジウムは、韓国側研究協力者(全北大学校高永爛氏が韓国側取り纏め役)と、日程や発表内容等の打ち合わせをZoomで数回行った。(6)浮世草子研究会会員有志で夏休み中に複数回集まり、長谷川強先生より御寄贈の浮世草子等の複写(全部で250点程点で、うち211点が浮世草子)の整理・確認作業を行った。浮世草子複写は、保存のため、最終チェックの済んだものから順次製本を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
各作業毎に記す。 (1)『御前於伽』の注釈作業は、2022年度前期中に最終巻の巻6迄の全章を終了させる予定で、その後浮世草子研究会で、翻字テキストと語注のチェックや必要な再調査を行い、刊行予定の浮世草子専門誌(下記3)の第2号に掲載し公表する予定。 (2)「西鶴と浮世草子」研究文献目録Web版作成作業は、キーワード取り作業の済んでいない文献につき、浮世草子研究会会員と協力者で再割り振りを行って、2022年度後期にはweb版で公表できるまでに漕ぎ着けたい。最終的なデータの整理統合作業については、文学通信の協力を得られる見込みである。 (3)懸案の浮世草子研究誌の刊行は、研究代表者の佐伯の原稿を加え、2022年度夏に刊行する予定。 (4)(5)研究分担者が日頃研鑽し進める、浮世草子と他ジャンル・実事件との関連については、更に各人の考察を深め、韓国人研究者複数にも加わってもらう国際シンポジウム(2023年2月開催予定)で発表し、シンポの成果は発刊する浮世草子研究誌第2号で活字化・公表する予定。 (6)長谷川強先生より御寄贈の浮世草子複写物については、保存するに価値があると思われる200点程を既に選別済み。最終チェックの済んだものから順次製本を進め、2022年度か2023年度中には製本を済ませる。当該全資料のリストを浮世草子研究誌の2号か3号に掲載し、資料閲覧にも応じられる体制を整えたいと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のためメンバーが文献調査のための出張が行えなかったことや、国際シンポジウム打ち合わせのため韓国人研究者(研究協力者)を日本に招けなかったこと、及び研究作業を補助してくれる浮世草子研究会会員(作業に応じ、研究作業補助費を支払う対象)の人数がが前年度より減ったこと等が、原因。 次年度には、コロナ禍が収束に向かうに伴い、出張調査を再開予定。また、2月には韓国人研究者(少なくとも2名)を日本に招いて、浮世草子をテーマにした国際シンポジウムを開催する予定であるので、その際の韓国人研究者の招待費要(交通費と宿泊費)に宛てる予定である。
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Research Products
(6 results)