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2021 Fiscal Year Research-status Report

近世仏教説話集の知的基盤についての研究-寺院所蔵の出版物及び聖教との関わりから-

Research Project

Project/Area Number 18K00293
Research InstitutionMukogawa Women's University Junior College Division

Principal Investigator

山崎 淳  武庫川女子大学短期大学部, 日本語文化学科, 教授 (20467517)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2023-03-31
Keywords寺院文献資料調査 / 蓮体 / 地蔵寺 / 新安祥寺流 / 近世 / 仏教文学 / 説話文学
Outline of Annual Research Achievements

当該年度は、【現在までの進捗状況】で挙げた理由により、本研究の柱である寺院文献資料調査を必ずしも思うように進められない状況にあったが、これまでの実地調査を基にした成果を2つ公表することができた。
1つは安住院(岡山県)での調査を基に、大阪大学古代中世文学研究会・寺院資料調査研究報告 合同特別例会「知られざる古筆・断簡と寺院経蔵―瓶井山禅光寺安住院―」にて行った、「安住院蔵『西行物語絵巻』について―その本文と絵と独自異文をめぐって―」という報告である。本報告では、安住院蔵『西行物語』は完本ではないが、『西行物語』諸本研究において絵や本文に注目される箇所が存在すること、補修・調巻によって明らかに錯簡が生じているが、実はそのことで非常に特異な内容を有するに至った伝本であることなどを指摘した。また、『西行物語』が寺院に蔵されていること自体が珍しく、その点でも本資料は価値を持つことも指摘した。この内容は、次年度公刊される予定である。
今1つは、『ことば・ほとけ・図像の交響 法会・儀礼とアーカイヴ』(勉誠出版)に収録された「「男ノ心」は何と同じか―九華山地蔵寺所蔵文献から」である。これは字数の関係からコラムの扱いであるが、地蔵寺(大阪府河内長野市)の調査に基づき、寺院所蔵の近世版本が大きな可能性を有していることを指摘し、今後の寺院文献調査に対する1つの考え方を示したものである。具体的には版本への書き込みを起点として、近世当時の諺や文芸と寺院文献資料との接点を見出すことができた。こうした事例は1つの寺院のみにとどまらないものであると期待される。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

まず、新型コロナにより、寺院の調査に赴けなかったことが非常に大きい。本研究は実地調査が中心であるが、対象の寺院にはご住職やご家族もいらっしゃるので、緊急事態宣言やまん延防止等充填措置が出た場合、どうしても調査に赴くことは控えねばならなかった。
また、報告者の私的事情になるが、家族が数年来体調を崩しており、殊に当該年度の中盤~後半にかけて病状が進行した。急激に悪化することも懸念されたため、何日も家を空けて調査に赴くことは中止し、日帰りの調査もできるだけ控えた。家族は11月末に死去し、報告者は以降、その対処と結果として生じた本務校での校務を処理することとなった。
したがって、12月以降は、年度中に研究を進めることが困難と判断し、当該年度が最終年度であった研究期間の延長を申請することになった。

Strategy for Future Research Activity

当該年度、新型コロナや私的事情(【現在までの進捗状況】の「理由」で記述)により中断・中止していた寺院の実地調査を再開する。特に本研究課題の中心となる地蔵寺調査にできるだけ注力する方針である。地蔵寺には未調査の写本聖教類が多く残されており、まずはそれらのデータ収集、並びにできる限りの写真撮影を行う。それとともに、9割を調査した版本類の残る1割の調査と、調査済み分の整理(点検)を進める。できれば少なくとも版本に関しては目録化を目指す。
また、『寺院文献資料学の新展開』(臨川書店)シリーズの第8巻「近世仏教資料の諸相Ⅰ 新安流とその周縁」刊行に向けて、執筆者との連携を確認し、自身としては資料の収集と翻刻作業を進めていく。

Causes of Carryover

【現在までの進捗状況】にも記したように、新型コロナ及び報告者の私的事情(家族の病気・死去)により、当該年度に研究(特に現地に赴いての文献資料調査)を進めることが難しくなったと判断し、研究期間の延長をしたため。
次年度は寺院の文献資料調査をできるだけ実施する予定である。それと並行して関連書籍(特に調査報告書、目録類、図録類)を充実させる。また、研究に使用しているPCが経年劣化により処理能力に問題が生じてきたため、新たに購入することとする。

  • Research Products

    (2 results)

All 2022 2021

All Presentation (1 results) Book (1 results)

  • [Presentation] 安住院蔵『西行物語絵巻』について―その本文と絵と独自異文をめぐって―2021

    • Author(s)
      山崎淳
    • Organizer
      大阪大学古代中世文学研究会・寺院資料調査研究報告 合同特別例会「知られざる古筆・断簡と寺院経蔵―瓶井山禅光寺安住院―」
  • [Book] ことば・ほとけ・図像の交響2022

    • Author(s)
      近本謙介(編)阿部泰郎、猪瀬千尋、山野龍太郎、三好俊徳、任占鵬、近本謙介、冨島義幸、阿部美香、郭佳寧、野呂靖、西谷功、大谷由香、泉武夫、黒田彰、荒見泰史、橋本遼太、海野圭介、ラポー・ガエタン、高橋悠介、松尾恒一、松山由布子、山﨑淳、程永超
    • Total Pages
      544
    • Publisher
      勉誠出版
    • ISBN
      978-4-585-31009-9

URL: 

Published: 2022-12-28  

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