2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K00301
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Research Institution | Kogakkan University |
Principal Investigator |
橋本 雅之 皇學館大学, 現代日本社会学部, 教授 (70164796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兼岡 理恵 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (70453735)
板東 洋介 皇學館大学, 文学部, 准教授 (90761205)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 水戸学 / 常陸国風土記 / 大日本史 / 会沢正志斎 / 西野宣明 / 栗田寛 / 吉田令世 / 小宮山楓軒 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年5月26日の上代文学会全国大会(於皇學館大学)にて、研究代表者の橋本が「常陸国風土記の注釈と水戸学」と題して講演した。この講演内容は『上代文学』121号(平成30年11月)に掲載された。この論文において、水戸学思想の形成の中で地誌が再評価されるようになったことを論じて本研究課題の基本的考えを打ち出した。8月18日には、島根県出雲市で開催された風土記研究会シンポジウム「風土記を書写した人々」に登壇して基調報告をした。この報告は「水戸学と古風土記の書写」と題して『風土記研究』41号(平成31年3月)に掲載された。 研究調査は、橋本が6月1日に、武蔵大学附属図書館にて『大日本史』地誌の調査、7月6日・7日に茨城県歴史館で水戸学関係の調査を実施した。研究分担者の兼岡理恵は、平成31年2月21日、茨城県立歴史館において「栗田寛関係史料」内の蔵書目録関連書を閲覧・調査を実施した。次に板東は徂徠学の水戸学への影響に留意しつつ、東京大学史料編纂所にて西野宣明『松宇雑録』『松宇日記』、立原翠軒『此君堂文集』、宮本茶村『常陸資料郡郷考』などの調査を行った。また皇學館大学にて、学部生・院生とともに西野宣明校訂の『訂正常陸国風土記』の輪読会を隔週で実施した。さらに朱舜水研究の第一人者である徐興慶(台湾大学教授)と東京大学にて意見交換を行い、朱舜水の地誌研究とその水戸学への影響について示唆を得た。 研究・調査の打ち合わせをは2回実施した。1回目は、平成30年8月19日、島根県出雲市にて研究調査の進捗状況を確認した。2回目は、平成31年3月16日に東京で、今年度の研究実績を報告し次年度の研究分担について打合せをした。その結果、橋本は引き続き西野宣明の注釈についての調査を継続すること、兼岡は栗田寛関係の資料調査を実施すること、板東は水戸学と地誌について調査を継続することが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者である橋本が、学会・研究会においてこの研究課題に関する講演とシンポジウム報告をおこない、その研究成果を学術雑誌に2本の論文として掲載することができた。 また、資料調査についても橋本が武蔵野大学と茨城県歴史館において水戸学関係の資料調査を実施し、兼岡も茨城県歴史館において栗田寛関係資料の調査を実施している。板東も、水戸学と大日本史関係資料の調査を継続しており、初年度に計画していた研究は概ね達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に実施した2回の打ち合わせにおいて、以下の内容を中心にして研究・調査を継続することが確認された。 (1)『大日本史』地理志と風土記の関係と水戸学者の地誌に対する関心(2)西野宣明の常陸国風土記注釈(3)明治維新前後の風土記研究と水戸学の関係の見直し (1)については板東が、(2)については橋本が、(3)については兼岡が中心となって調査を進める予定である。 また、これらの研究成果については、令和元年8月に開催予定の風土記研究会において各人が研究発表を予定し、その成果を論文として学術雑誌に掲載できるように計画する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、研究分担者である兼岡理恵が、本務大学の公務により、3ヶ月間程度、アメリカ合衆国に出張することになり、その期間中の調査と研究が一時的に停止していたことによって生じた。これについては、今年度の資料調査旅費、研究図書購入費などに充てる予定である。資料調査については茨城県歴史館、研究成果発表として8月に奈良県にて開催される風土記研究会等への出張が予定されている。
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Research Products
(4 results)