2020 Fiscal Year Annual Research Report
Basic research on the annotation and compilation of regional geography in Mito school
Project/Area Number |
18K00301
|
Research Institution | Kogakkan University |
Principal Investigator |
橋本 雅之 皇學館大学, 現代日本社会学部, 教授 (70164796)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兼岡 理恵 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (70453735)
板東 洋介 皇學館大学, 文学部, 准教授 (90761205)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 国文学 / 風土記 / 地誌 / 日本思想史 / 水戸学 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度にあたる本年度は、新型コロナウイルス感染が拡大したため、文献調査を実施できなかったが、昨年度までの研究成果を確認して、共同研究成果報告のためのシンポジウムを令和2年11月14日に皇學館大学で開催した。 そのシンポジウムでは、水戸学を研究している桐原健真(金城学院大学教授)による基調講演の後、研究代表の橋本、研究分担者の兼岡と板東がそれぞれ研究報告をおこない、最後に桐原を含めたパネルディスカッションを実施した。その結果として、天保十年に刊行された西野宣明の『訂正常陸国風土記』が、これまで考えられてきた以上に、水戸学と深く関わっていることが確認できた。特に会沢正志斎と小宮山楓軒の二人が序文を寄せている事実は、これまでの水戸学研究の常識から考えて異例のことであり、水戸学内部の立原派と藤田派が、それぞれの立場から奈良時代の風土記に強い関心を示してたことが明らかとなった。これは、風土記研究の側からも水戸学研究の側からも注目されてこなかったことであり、本共同研究によって初めて明らかとなったことであり、ここに本研究の大きな意義があると認められる。 研究代表者の橋本は、この点について小宮山楓軒が文政期にまとめた『水府志料』に引用された『常陸国風土記』の実態を詳しく調査して、この風土記が近世後期の水戸藩において古代の地理と伝説を残す貴重な資料として評価されていた実態を明らかにした。 以上の研究成果は、風土記研究と近世思想史研究の協同がなければ達成されなっかたと言わねばならず、両者が協同して江戸時代後期の水戸藩における地誌編纂の意義を明らかにすることを目的とした本研究の所期の目的はおおむね達成されたと言えるだろう。今後は、さらに具体的な地誌編纂と『常陸国風土記』の関係を解明し、それを通して水戸学形成の実態を明らかにすることが求められる。
|
Research Products
(1 results)