2021 Fiscal Year Research-status Report
Philological Study on Takimono Culture Towards Comprehensive Recognition and Revitalization of Takimono Culture
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18K00340
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
田中 圭子 佐賀大学, 地域学歴史文化研究センター, 特命研究員 (20435051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日高 愛子 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (20706741)
中村 健太郎 帝京大学短期大学, その他部局等, 講師 (60596922)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 薫物 / 薫香 / 香 / 香文化 / 文献学 / 武雄鍋島家 / 唐物 / 小野於通 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度も引き続きコロナ禍の影響により国内外での文献調査や対面による成果報告の実施は差し控えた。一方で、国内外在住の日本古典文学、日本文化史、日中比較文化史、日韓比較文化史を専門分野とする研究分担者・研究協力者とともに2019年度からオンラインで実施している研究会(東アジア伝統文化研究会)は、18回目を迎えた。年度末には同研究会主催による小規模なオープン研究会もオンラインで開催。参加者が個別に実施してきた日頃の研究の成果を国内外からの参加者に公開するとともに、質疑応答も行った。発表された成果の中には、各自が所属する学会等での口頭発表や論文発表の企図された内容も複数含まれており、参加者の多様な専門分野における最新の研究成果を学び合うことができた。田中の研究成果は、2022年度に開催予定の所属学会および同年度中に刊行予定の学術研究誌において発表する予定である。学会での口頭発表は論文化して機関紙に投稿したい考えである。 本研究の波及効果として、異分野の研究者や企業との共同研究契約を締結した(代表機関:立命館大学、共同実施機関:香老舗松栄堂、佐賀大学)。この研究は、古代の薫物の調合に使用された粘性の甘味料を文献の考証結果をもとに再現し、それを用いて古代の処方に基づき薫物を調合しようという取り組みである。田中の役割は、処方の言説を解読すること、およびある種の薫物の材料として処方された草花を調達し、処方に記された状態にこれを加工することである。材料の草花には、広島大学大学院統合生命科学研究科植物遺伝子保管実験施設でゲノム研究の試料として栽培される「キクタニギク」を使用する予定である。一部を除いて園芸残渣として廃棄される予定の花を正規の手続きを経て提供いただき、薫物の材料として利活用することは、持続可能な社会を目指す時代の機運に照らしても、意義のある活動と自負している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響により、不本意ながら研究期間を2年延長することとなった。2022年度の延長は、国際的な半導体不足により、調達予定の機器が国内に流通しなくなったことによる。国内外で対面により行う必要のあった文献閲覧調査は、所蔵先の都合により現在も実施できない状態にある。このため、計画を柔軟に変更して、2019年度前期までに収集した調査結果を精査したところ、新たな発見に恵まれて、所属学会での成果発表につなげることができた。また、従来の研究成果を活用して、異分野の研究者や研究機関との協力関係を構築し、産学共同研究契約を交わすこともできた。以上のことから、計画の大幅な遅れはあるものの、研究開始当初には予想しなかった成果や波及効果を得ていることから、進捗状況は「やや遅れている」との自己評価に留めた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度後期から国内外の移動制限が緩和され始めているが、研究対象となる国内の文献資料の閲覧利用制限は、2022年度も引き続き厳密なものとなっている。このため、研究目的のうち江戸時代後期から明治時代にかけての文献調査は今年度も中断し、従来の調査で収集した資料の精査に引き続き取り組むことで、当初は予想しなかった新たな発見を目指す。成果報告は、オンラインの利便性を生かして引き続きバーチャル大会またはハイブリッド形式の開催での実施を目指す予定である。2021年度には実現しなかったグローバルな学会大会にも参加して、海外の研究者とのディスカッションやネットワーキングに積極的に参加することにより、研究成果の国際的な発信力強化に努めたい考えである。
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Causes of Carryover |
残額は研究に必要な機能を備えた物品(ノートパソコン)の購入に充当するよう準備を行っていたが、コロナ禍の影響で半導体不足となり、購入予定の物品が国内に流通しなくなった。この為、購入費用は未使用額となり次年度に繰り越した。
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Research Products
(7 results)