2019 Fiscal Year Research-status Report
ニュー・ドラマトゥルギー―現代アメリカ演劇の再歴史化を試みる
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18K00391
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Research Institution | Gakushuin Women's College |
Principal Investigator |
内野 儀 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 教授 (40168711)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 現代アメリカ演劇 / ヨーロッパ現劇 / パフォーマンス研究 / 演劇研究 / ニュー・ドラマトゥルギー / パフォーマンス諸文化の織り合い / 演劇史 / 演劇理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「ニュー・ドラマトゥルギー」という新しい方法的概念を通じて、アメリカ合衆国発のパフォーマンス研究と大陸ヨーロッパ発の演劇学/演劇研究という相互排除的な学問分野を横断することの学術的意義を問うものである。より具体的には、1960年代以降の現代アメリカ演劇の再歴史化という研究プロジェクトとして本研究を定義し、これまでにない画期的な現代アメリカ演劇史を構築することを目的とする。今年度は、昨年度から引き続き、以下の研究を行った。(1) 英語圏と大陸ヨーロッパについて、演劇研究の歴史が、主としてルネッサンス以降、近代を経過するなかで、どのように展開してきたかを、比較対照しつつ、大まかに把捉する作業を継続した。(2)(1)と並行して、パフォーマンス研究及び大陸ヨーロッパ的演劇学/演劇研究がこれまで残してきた学術的業績を振り返る作業を、その理論的展開とその達成を現在的に把握することと、これまで現代演劇について行われてきた研究成果を把握するという二つのテーマを持って、資料収集を行った。(3)「ニュー・ドラマトゥルギー」という近年脚光を浴びている方法的概念について、関連する資料収集・研究分析を行うだけでなく、そうした研究が登場してきた歴史的、社会的、文化的文脈をふまえたうえて、英語圏と大陸ヨーロッパ圏における演劇研究をめぐる同時代の批評言説を比較検討するための、資料収集も同時並行的に行った。一方、本年度は、本研究についての成果発表の一環として、シンガポールで開かれたAsian Dramaturgs’ Network Conferenceで基調講演を行い、ニュー・ドラマトゥルギーを理論的支柱とする本研究について、アジア圏の研究者とその知見をシェアする機会を持った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要のところでも述べたように、今年度については、研究計画に沿った資料収集が中心となった。一方、シンガポールで開催されたアジア圏のドラマトゥルグ・ネットワーク会議に招かれて基調講演を行う機会を得、その場における多様な研究者・アーティストとの交流を通じ、本研究の新規性及び妥当性を確認できたのは収穫であった。したがって、本研究は、概ね順調に進展していると自己評価をしている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究はおおむね順調に進展しており、次年度以降も、研究計画に沿った研究を継続する予定である。
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