2023 Fiscal Year Annual Research Report
An Attempt to Clarify Engagement with the Public Sphere in German Literature around 1800 through Newspapers and Magazines
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18K00450
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
亀井 一 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00242793)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ジャン・パウル / カッツェンベルガーの湯治旅行 / アンソロジー / 雑録記事 / 作品の概念 / 物語からの脱線 / 拾い読み / 同時代批評 |
Outline of Annual Research Achievements |
ジャン・パウル・フリードリヒ・リヒターの『カッツェンベルガー博士の温泉旅行』第一版(1809)と第二版(1822)を新聞・雑誌との関連から考察することによって、1) 第一版が雑誌のスタイルをモデルにしているため、古典的な意味での「作品」概念から大きくはずれていること、そして、2) 第二版は「作品」を意識して再構成され、完結した「作品」と第一版の中間に位置することを明らかにした。 1) 『カッツェンベルガー博士の温泉旅行』には、書き下ろしの「温泉物語」に加えて、すでに新聞・雑誌に発表済みの「小品」が10篇、さらに書き下ろしの「多韻律詩」が収められている。発表済みのテクストを組み込んだのが、原作者の許可なく出版されたアンソロジーに対する抗議だったことは作者自身が書いている。しかし、『カッツェンベルガー博士の温泉旅行』が、アンソロジーのパロディになっていることを指摘したのは、カミンスキー論文(2017)だった。「小品」相互、「小品」と「温泉物語」は、いくつかのモチーフを共有し関連付けることができる。作者は飛ばし読みをする読者を批判しているが、飛ばし読みができるような構成になっている。 2) 第二版は、第一版に収録されたテクストを二部構成から三部構成にして、順番を入れ替えただけのようにみえるが、完結した「作品」をめざしている。「小品」は、「温泉物語」に完全に組み込まれることはないが、アンソロジーというよりは、リヒターの小説の特徴をなす「脱線」になっている。第一版を参照しながら、第二版を分析することによって、物語からの「脱線」と新聞・雑誌の雑録記事の類比関係が明らかになった。「脱線」で読者に報じられているのは、語り手が書いているまさにその時間の出来事で、物語の出来事ではない。
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Research Products
(2 results)