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2018 Fiscal Year Research-status Report

A Basic Research on Mowlavi's Masnavi

Research Project

Project/Area Number 18K00497
Research InstitutionTokyo University of Foreign Studies

Principal Investigator

佐々木 あや乃  東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (60272613)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 藤井 守男  東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (90143619)
Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywordsペルシア神秘主義文学 / ルーミー(モウラヴィ―) / 精神的マスナヴィー / ペルシア古典詩 / データベース
Outline of Annual Research Achievements

研究代表者はルーミーの『精神的マスナヴィー』の逸話部分の全訳を完了し、その推敲作業にも着手した。また、翻訳作業と並行して『精神的マスナヴィー』の逸話とイスラーム神秘主義思想との関連についての考察を進めることもできた。具体的には、平成30年度日本学術振興会外国人研究者招へい事業(短期)によりテヘランの人文学・文化学研究所のプールナームダーリヤーン教授を招へいしたことにより、中世のイランの哲学者、スフラワルディーの精神的物語「深紅の知性」についてじっくりと深く学ぶ機会も得ることができた。日本でのプールナームダーリヤーン教授の講演会の通訳や質疑応答を担当し、さらには慶應義塾大学言語文化研究所紀要に寄稿されたプールナームダーリヤーン教授の論文を和訳する機会を得るなど、中世イラン哲学・思想に関して大いに知見を深めた。また、上記研究者の招へい期間内に、『精神的マスナヴィー』の冒頭の「葦の嘆き」についてのペルシア語による講演会を学生・若手研究者対象に2度開催し、冒頭18行のより正確で深い考察の機会を提供することができた。さらに、研究協力者による『精神的マスナヴィー』の逸話部分に関する講演を3度にわたって開催し、ルーミーの思想を学生や市民一般にも広く知らしめる機会を提供した。研究協力者と共に『精神的マスナヴィー』に関連した研究論文の題材と成り得るテーマの洗い出しや選定にも着手した。
研究分担者はルーミーの作品と他のイスラーム神秘家の思想・哲学上の関係や、写本について研究や考察を深めるに至った。また研究代表者が招へいしたプールナームダーリヤーン教授とも積極的に意見交換を行いながら、ルーミー研究とマスナヴィーをめぐる考察を進めることができた。
研究協力者は上述の3度のルーミーのマスナヴィーに関する講演をおこない、ユング心理学的テクスト分析の結果を紹介するに至った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究代表者の研究は、翻訳を中心として頗る順調である。逸話部分の下訳を終えて、推敲の段階に入っており、なんらの支障もみられない。
研究代表者、分担者ともにイランへの出張は実施しなかったものの、第一線で活躍するプールナームダーリヤーン教授が1か月半にわたって日本に滞在し、連日共に研究をおこなうことが可能な環境に身を置くことができたため、研究代表者、研究分担者共に、たいへん密度の濃い研究生活を送ることができ、各自の研究を推進する方向性がより明らかとなった。
研究協力者は3度の講演に際し、『精神的マスナヴィー』のユング心理学的テクスト分析を推し進め、その成果を余すところなく、研究代表者や研究分担者をはじめ、日本の若手研究者や学生にも伝えることができた。
テクストデータベース作成に関しては、当初は『精神的マスナヴィー』のテクスト入力を人海戦術を用いておこないデータベース作成が可能か否かを見極める予定であった。しかし、イランのイスファハン大学よりWordファイルに入力されたテクストの提供を受けることができたことによって状況が一変した。イスファハン大学が用いた底本はNicholsonであり、当初研究代表者が底本に採用予定だったEstelami版とは異なる。しかし、Nicholson版のほうがより優れていると複数の研究者からの指摘を受け、このWordファイルを活用し、データベース作成の実現を目指したい。

Strategy for Future Research Activity

研究代表者は、『精神的マスナヴィー』の逸話部分の翻訳の推敲を進め、国内での出版実現に向け具体的に動き出す。『精神的マスナヴィー』の日本での知名度を上げるためには、平易な読み物として、文学愛好家や子供たちに逸話に触れてもらう機会を作ることが最も効果的であると考えるためである。さらに、研究代表者は研究協力者とともに『精神的マスナヴィー』に関連した論文を複数執筆することを目標とする。
研究分担者はイランへ出張し、イラン人研究者との意見交換をおこなう。また、引き続きルーミー研究に必要な資料収集をおこない、図書を選定・購入する。
テクストのデータベース作成への着手が可能であることが判明したため、データベースの作成を目標の中心に据えたい。まず、海外在住の複数のペルシア文学研究者の協力も得ながら、既にあるテクストの確認作業をおこなう。そして、同時並行的にデータベース作成に必要な業者を選定する。研究協力者にもデータベース作成の具体的な作業に加わってもらい、グループ一丸となって『精神的マスナヴィー』の国際スタンダードといえるデータベースの完成と、世界中で使用可能な方式でマスナヴィーのデータベースの提供を目指したい。
また、イランをはじめとする海外のペルシア文学研究者との意見交換の場を可能な限り設け、世界のルーミー研究に接する機会を作るよう努める。

Causes of Carryover

日本学術振興会の外国人研究者招へいプログラムへの応募申請が承認されたため、外国人研究者との意見交換が日本で可能となった。よって、研究代表者や研究分担者がイランへ出張し研究者と意見交換する必要に迫られなかったことが、次年度使用額が生じた最大の理由である。
また、データベース作成のためのテクスト入力作業を予定していたが、Wordファイル入力済みのテクストをイスファハン大学より提供されたため入力作業が不要となり、予定していた人件費分の支出が不要となったことも、次年度使用額が生じた理由である。
当該助成金は2019年度分として請求した助成金と合わせて、データベース作成の費用の一部に充当する予定である。万が一データベース作成に難航が生じた場合には、研究協力者の日本への招へいとルーミー研究に必要な図書の購入に充当する予定である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2019 2018

All Journal Article (4 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Open Access: 2 results)

  • [Journal Article] スフラワルディーの象徴物語「深紅の知性」2019

    • Author(s)
      Purnamdarian, Taqi; 佐々木あや乃
    • Journal Title

      慶應義塾大学言語文化研究所紀要

      Volume: 50 Pages: 1, 19

  • [Journal Article] ハーフェズ詩注解(13)2019

    • Author(s)
      佐々木あや乃
    • Journal Title

      東京外国語大学論集

      Volume: 97 Pages: 246, 261

    • DOI

      http://repository.tufs.ac.jp/citation-home?citation_id=125

    • Open Access
  • [Journal Article] Mokhatab-shenasi-ye hekayat-ha-ye Ilahi-namah2018

    • Author(s)
      佐々木あや乃
    • Journal Title

      Majmu'e-ye maqalat-e nokhoshtin hamayesh-e beynol-melalli-ye zaban-e farsi va andishe-ye Irani-Islami darbare-ye Farid al-Din 'Attar-i Nishaburi (1)

      Volume: 1 Pages: 2028, 2053

    • Int'l Joint Research
  • [Journal Article] The View of Language of the Khurasan school of Mysticism, Tasawwuf-i Khurasan: An Essay Considering The Basic Structure of Mystical Discourse from the Perspective of “Unutterable Language”(Kalam nafsi)2018

    • Author(s)
      FUJII Morio
    • Journal Title

      Islamic Studies and the Study of Sufism in Academic : Rethinking Methodologies

      Volume: 3 Pages: 331,351

    • Open Access

URL: 

Published: 2019-12-27  

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