2021 Fiscal Year Annual Research Report
Articulatory Organisation and Individual Differences in Vocal Tract Morphology: A Study based on Real-time MRI and 3D-MRI Data
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18K00548
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
中村 光宏 青山学院大学, 文学部, 教授 (10256787)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 調音動作 / 声道形態 / 個人差 / 調音タイミング |
Outline of Annual Research Achievements |
声道の形態的特徴と調音動作の制御との関係について、本研究課題の成果の一部を含め、サーベイ論文を執筆・公表した。先行研究では、音声実現の変動の実態を捉えるために、調音・音響・知覚に関わる特徴や、言語学的・社会言語学的要因が調査されてきた。本論文では、音声的変動の生物学的要因に焦点を絞り、主要な先行研究を復習し、声道の形態的特徴と調音動作の制御との関係を検討して、今後の研究課題を整理した。主要な調査結果を以下に記述する。 ①音声学研究では、音声器官の習慣的制御の検討に重点が置かれ、その個人差については(その存在は認識されていたが)ほとんど検討されてこなかった。これは音声学研究における理論的仮説と関連していると考えられる。 ②先行研究の接近法や調査対象は様々であったが、共通する仮説が存在しており、その検証が目的のひとつであった。その仮説は「話者は生成される言語音を適切な聴覚範囲内に収め、意図した音が正しく伝達されるように、話者自身の声道形態に合わせて調音動作を調整している」である。現時点では、更なる音声学的事実の集積が必要と判断できる。 ③音声学的変動の生物学的要因を探る試みは、音声学・音韻論研究に新たな問題を提起するものでもある。例えば、音声生成モデルにおける個人差の位置づけや、声道の形態的特徴と言語の音体系との関係が挙げられる。音韻論の生物学的基礎の探求は、音声科学、話ことばの進化、ことばの多様性等の課題と関連性をもつことにより、研究分野としての多様化が進むことが予期される。 なお、調音パラメタに基づく接近法(本研究課題の理論的基盤のひとつ)の視点から、英語子音を解説した次の執筆を記録しておきたい。中村光宏・市﨑一章(2022)「第4章 英語の分節音II-子音.」長瀬慶來教授古希記念出版刊行委員会(編)『英語音声学・音韻論-理論と実践』大阪:大阪教育図書,pp. 61-84.
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Research Products
(1 results)