2022 Fiscal Year Annual Research Report
A Generative Approach to Quantification in Japanese Dialects
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18K00574
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮本 陽一 大阪大学, 大学院人文学研究科(言語文化学専攻), 教授 (50301271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 雅子 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (00708571)
大滝 宏一 中京大学, 国際学部, 准教授 (50616042)
西岡 宣明 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (80198431)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生成文法 / 選言的接続詞 / 作用域 / N'削除 / 「が」格目的語 / 「を」格目的語 / 肥筑方言 / オランダ語 |
Outline of Annual Research Achievements |
Corver and van Koppen (2006)はフリジア語におけるN'削除の可否と屈折語尾の形態の関係を明らかにし、Foc(us)にはOp素性とE素性があり、焦点化された句をFocP 指定部へ牽引することによってE素性が活性化され、NPが削除されると主張する。屈折語尾をE素性の具現化した形態と考えるのである。これは、肥筑方言において焦点化された「が」格名詞句がN'削除を牽引できないこと(Fukuda 2008)と一見矛盾するように見えるが、本研究ではフリジア語と肥筑方言の違いが日本語にφ素性の一致がないことに起因することを明らかにした。Albrecht (2010)が主張するように、E素性の活性化にはφ素性等の一致が必要であるならば、日本語ではAgreeを介したN'削除の認可はできないことになる。さらにこの分析を「が」格目的語の認可条件に拡張し、「が」格目的語の認可も「Focus素性+可能接辞等の有する素性」の複合体によって認可されることを明らかにした。単体では活性化されない素性の存在を明らかにしたことに本研究の意義がある。 また、肥筑方言のwh句には反焦点化 (anti-focus) の性質を有する「の」が付加できることを観察し、日本語のwh句の意味特性について実証研究を行い,特に焦点要素として解釈されるwh句を残余句とするwh-strippingの特性を明らかにした。 さらに、昨年度実施した選言的接続詞に関する実験結果の再分析を行い、(1)下方含意のコンテクストにおいて選言的接続詞が否定辞より狭い作用域が取れること、(2)肥筑方言において「が」格主語と「の」格主語が異なる統語位置を占めるにも拘わらず、選言的接続詞を文頭にスクランブリングした場合に、いずれの主語であっても当該接続詞が否定辞よりも狭い作用域が取れることを確認した。
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Research Products
(12 results)