2021 Fiscal Year Annual Research Report
A study of Ru tone laxation tendency on Jiangsu Tongzhou dialects in China
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18K00596
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
大西 博子 近畿大学, 経済学部, 教授 (60351574)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 入声調 / 二音節変調 / 呉語 / 舒声化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、二音節で構成されている語彙の発話データを対象に調査研究を進めた。調査の手順と研究成果は、以下の通りである。 (1)音声分析(発話データの測定)2018年度に実施した方言調査で収集した録音データから、入声字を含む二音節語彙53項目を分析対象とし、金沙と四甲の2調査地点における8名のインフォーマントの発話データ(サンプル数:53×2×8=848件)を抽出。それらを音声分析ソフトPraatを用いて、音節データ(サンプル数:848×2=1696件)の音節長(持続時間)とピッチ(T値に換算)計測を行った。 (2)比較分析(分析データの選別)まずは、発話データ848件のピッチ計測から得られた結果を基にピッチ曲線図を作図し、類別化を図った。その結果、53項目の語彙は、24項目に分類できることがわかった。その後、24項目における8名のインフォーマントの発話データを比較し、性差の違いや年齢差を分析。性差の違いは、女性の方がピッチが高く、音節長もやや長目に現れることが確認できたが、個人差があることが判明。一方、年齢差の違いは、若年層と中年層の間ではほとんど見られなかったが、若年層と老年層の間には、男性であれ女性であれ、ピッチの高低差と音節長の長さに明らかな違いが反映されていた。この結果を踏まえ、8名のインフォーマントのうち、2名(最高齢者と最も若いインフォーマント)のデータを研究分析の対象とすることに決定した。 (3)二音節変調時における入声調の分析(金沙)まずは、金沙と四甲のうち、金沙のサンプル(24×2=48件)から着手することにし、48件のデータを精査した。単音節における入声調の動きについてまとめた後、先行研究を踏まえた上で、二音節における入声の動きをピッチと音節長の計測結果から分析。老年層と若年層の比較から、二音節変調時における入声舒声化の進度レベルと進度の傾向を考察した。
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